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エピソード環境市場新聞創刊時から連載する人気コラム。企業活性化教育研究所の長尾光雄所長が、企業研修時に経験した「因果倶時」(原因と結果は必ず一致するという意味)にまつわるエピソードを紹介します。

#29
因果倶時(いんがぐじ)-8-

潜在意識の威力

 人間の行動の90%は自分では意識していない潜在意識に影響されているといわれる。この潜在意識の働きの一つに現状維持機能がある。
 ある企業の営業チームのリーダー・山上さんが私に言った。「私のチームはいつも成績が最下位あたりで低迷しています。それが先月は1位になりました。チーム全員でベクトルを合わせ本気で仕事をした結果です。うれしくて久しぶりにメンバー全員と喜びを分かち合いました」。
 このチームの営業成績は、14チーム中いつも13?14番目だった。私は喜びあふれる表情の山上さんをみて危機感を感じ「喜んでも、満足はしないでください。長く低迷していたのでその状態があなたの潜在意識に蓄積されています。本気で取り組まないと潜在意識の現状維持機能が働きすぐ低迷の状態に戻ります。あなたが1位に満足すると無意識のうちに気が緩み現状維持の機能が働きます。満足しないで、1位を途中経過と考え、さらに本気で取り組んでください」と助言した。
 しかし翌月このチームはいつもの場所に納まってしまった。13番目だ。とはいえ、これはどこでもよく起こる事例だ。「今月はよくがんばった」と気を抜き、翌月駄目になる。潜在意識の現状維持機能が働いているのだ。
 大リーガーのイチローは10年間、毎年200本以上のヒットを打っている。だがイチローの目標は打率4割、ヒットが280本だという。だからイチローは現状に満足しない。満足しないから、10年も続けて毎年200本以上のヒットを打てたのだ。
 私は潜在意識の現状維持機能の話をどこの企業でもする。すると今の目標を大目標、中目標、小目標と3つに分けて本気で取り組む人も出てくる。そのような人は驚くほどの成長をみせる。逆に軽く聞き流してしまうと無意識のうちに「先月は本気で働いた。疲れた。今月は少し息抜きしよう」と潜在意識の現状維持機能が働くのだ。その結果どうなるか? 因果倶時だ!!

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