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エピソード環境市場新聞創刊時から連載する人気コラム。企業活性化教育研究所の長尾光雄所長が、企業研修時に経験した「自利利他」にまつわるエピソードを紹介します。

#48
自利利他 じりりた -6-

育むべき自利利他の精神
  「動機善なら事はなる」

 以前、国立教育政策研究所が全国の小中学校校長に対し、「学校教育で十分に取り組んでいない教育活動は何か」のアンケートをとった。その結果、「社会や他人のために尽くす」という教育活動が最もおろそかになっていることがわかった。
 社会全体に倫理観や道徳観念が失われつつあるとの昨今の指摘は、道徳教育の欠如が一因でもあるだろう。学習指導要領の一部改正に伴い、小学校は2018年度、中学校では2019年度から「特別の教科 道徳」の設置が決定している。きちんとした道徳教育を実施すれば、「社会や他人のために尽くす」という教育活動も充実するだろう。
 「社会や他人のために尽くす」とはつまり利他の心だ。多くの人はそれよりも自分の得だけを考える利己の心を優先させてしまう。そのようなときに参考にしてほしい一例をあげよう。
 通信事業の自由化で、京セラ名誉会長の稲盛和夫氏が「NTT1社では料金は下がらない」と新規参入を意図したときのこと。「お前が通信事業に乗り出そうとするのは、本当に国民を思ってのことか。会社や自分の利益を図ろうとする私心が混じっていないか。あるいは世間からよくみられたいというスタンドプレーではないか。動機は一点の曇りもない純粋なものか──動機善なりや、私心なかりしか」と半年間自問自答。私心はなく「世のため人のため」と確信した稲盛氏は、DDI(現・KDDI)の設立に踏み切ったという。
 企業は社会の一員だ。社会の発展のため、人々の幸せのために働くからこそ、顧客の支持が得られ成長を遂げられる。自利利他の精神が不可欠なのだ。
 DDIの成功について稲盛氏は、「世のために、人のために役立ちたいという考え方が、天祐を招いたのであり、動機善であれば、かならず事はなるということの証明に他ならない」と言っている。自利利他の精神が全社一丸となって成功を勝ち得たのだろう。

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