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エピソード環境市場新聞創刊時から連載する人気コラム。企業活性化教育研究所の長尾光雄所長が、企業研修時に経験した「因果倶時」(原因と結果は必ず一致するという意味)にまつわるエピソードを紹介します。

#20
積小為大(せきしょういだい)-補足編-

大きな事は後からついてくる

 松下幸之助は以前、松下政経塾の塾生に「なぜ掃除しないのか。身の回りの掃除もできんもんが世の中の掃除ができるか」と激怒したとの事だ。松下政経塾は将来、政治・経済の分野でリーダーになる人を育成する塾だ。それだからなおの事、小さな事を疎かにしないように言ったのだ。小さな事の積み重ねが人間の土台をつくる。小さな事とは整理整頓、清掃、清潔、礼儀などといった事だ。
 松下幸之助が塾生を叱ったのは、塾生が「私たちは選ばれたエリート。掃除などの小さな事は私たちがやる事ではない」という考え方をしていると思えたからだろう。
 例えば大リーガーのイチローは整理整頓に驚くほど意識を払っている。ホテルでの滞在時も、上着、Tシャツ、下着類をきれいに分け、備え付けの家具の中にキチンと収納する。タオル、歯ブラシ、髭剃りなどは置き場所まで決めている。それについてイチローは「気持ちよく野球をするためには環境もすごく大事なんですね。選手って環境によってとんでもなくヤル気がみなぎったり、信じられない力を発揮できたりするものじゃないですか」と言う。一つひとつの小さな事が自分のモチベーションにも大きく影響を与えるのだ。
 私の研修でもそうだ。研修ではチームごとに資料を作成する。資料の一つひとつを考えて丁寧に書いているか、誤字脱字がないか、基本をキチンとふまえて書いているか、第三者が一目見てわかりやすいように具体的で創意工夫があるか、などといった事を、私は大事にしている。
 それに本気で取り組んでいるチームほど小さなことを大事にしているし成果も上がっている。資料作成がいい加減なチームは、本気を感じられず成果も上がっていない。
 小さな事を大切にする仕事の姿勢は、生き方の姿勢でもある。そういう人は、小さな事をキチンとこなせば、大きな事は後からついてくる事を知っている。だから偉業を成し遂げる人ほど小さな事を投げやりにしない。積小為大である。

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