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エピソード環境市場新聞創刊時から連載する人気コラム。企業活性化教育研究所の長尾光雄所長が、企業研修時に経験した「自利利他」にまつわるエピソードを紹介します。

#49
自利利他 じりりた -7-

感動を与え信頼を得る
  無心でひたむきな利他の行い

 車用品を扱うイエローハットの創業者・鍵山秀三郎氏は「掃除の神様」といわれ、氏が指導する「掃除に学ぶ会」の活動は、日本の全国各地はもとより海外にまで広がっている。私の経験上、掃除がぞんざいな会社は社員教育もなおざりで企業体質が弱い。鍵山氏は、 掃除によって、荒れた学校 や犯罪の多い街を劇的に変えてきた人だ。そして、相手の立場に立って考えられる自利利他の人だ。
 鍵山氏は独立当初、都内のアパートに住み、近くのガレージを事務所にして自転車で行商。車用品を扱う仕事柄、車の出入りは多い。近所に迷惑をかけていると考えたのだろう。「そのお返しに」と毎朝アパートの周囲を夫婦で掃除。自ら進んで誠心誠意、心を込めてゴミや埃をかき集めた。
 そんなある日、アパートの大家さんから自分の所有する土地を譲りたいと申し出を受ける。だが280坪の1等地を購入する資金はない。すると大家さんは、いくら用意できるかを尋ねた。相場には到底見合わない金額を恐る恐る告げると、ただ同然のその金額を大家さんは無条件で了承。大家さんは毎朝熱心に掃除する夫婦の姿に感動していたのだ。最初から「鍵山さん以外には譲らない」と決めていた。
 人は、たとえ平凡なことでも誠実に実行する人に対し、感動を覚える。手を抜かないひたむきな努力に対し、感動する。鍵山氏の無心の行いが、大家さんに感動を与え、信頼の獲得につながった。その後、その土地は会社の危機を何度も救った。鍵山氏は、大家さんが亡くなるまで、生涯の恩人として礼を尽くしたという。
 鍵山氏は、「相手のためになることを積み重ねていけば、必ず同じような考えの人や企業が集まり、結果的に人生は豊かになり、企業としても発展する。逆に、自己中心的な考えになれば、そういう人や企業ばかりが集まり、一時的には業績が伸びても、遠からず衰退する」と言っている。自利利他の精神が大事だ。
〈参考文献『エピソードで綴る 鍵山秀三郎の流儀』亀井民治著 PHP研究所刊〉

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