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エピソード環境市場新聞創刊時から連載する人気コラム。企業活性化教育研究所の長尾光雄所長が、企業研修時に経験した「因果倶時」(原因と結果は必ず一致するという意味)にまつわるエピソードを紹介します。

#24
因果倶時(いんがぐじ)-3-

活性化した職場の 教育環境が「人財」をつくる

 人が一人で成長するのは難しい。人間は環境の動物だ。成長のためには活性化した職場の教育環境の中に居続けることが大事だ。その環境が人間の成長を促進するのだ。
 4年前、私が研修を実施しているある企業に鈴木勇司さん(26歳)は入社した。社員の評価には「高い」「普通」「低い」の3種類がある。入社当時の鈴木さんは評価が低かったのだ。直属の上司・日隈亮介さんは、入社当時の鈴木さんについて「指示命令に答えない、アドバイスを聞かない、学ぶ心がない、素直さがない、だから企業人として損な生き方だ」と振り返る。日隈さんの上司の部門長は、鈴木さんの父親から入社早々に「母親を早く亡くし、父子家庭で育てたため教育ができていません。どうか厳しく教育してください」とお願いされたそうだ。
 この企業は教育熱心なことで知られている。途中入社の社員がよく「学校みたいな会社だ」と感想をもらすほど、企業人としての基本を研修や訓練で社員にしっかり身につけさせるのだ。
 私は入社当時の鈴木さんを見て、彼はこの教育環境に合わず、早々に退職するだろうと思った。だが、鈴木さんは辞めなかった。自分を成長させたい気持ちがあったのだろう。上司の日隈さんは言う。「いつの頃からか素直になり本気になって仕事に取り組み、その成果が現れるようになった」。入社3年目には全営業マンの中で新規の売上で2番目の数字をあげ翌年には初めて職責を達成した。鈴木さんは成長し、評価は変わった。「低い」から「高い」になった。
 私は鈴木さんに成長をもたらした最も大きな要因は活性化した職場の教育環境だと考えている。事実、この企業では教育環境の活性化のため私が担当する月1回の研修を導入している。
 因果倶時──原因と結果は、何事によらず必ず一致するのだ。この事例でいえば、活性化した職場の教育環境が、鈴木さんを「人財」にしたのだ。

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