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テッくんのQ&A《再生可能エネルギー》

 テッくんのQ&Aコーナー。今回は再生可能エネルギー(再エネ)について解説していく。
(環境市場新聞57号~60号に掲載)

Q 再エネは主力電源になる?

火力や水力など各種の発電方法には、供給の安定性が高いもの、環境に優しいものなどそれぞれ特徴がある。だから1つの発電方法に頼らず、複数の電源を組み合わせるエネルギーミックスが必要なんだ。以前までは火力と原子力を主力電源とし「S+3E」(S:安全、3E:安定供給・経済性・環境)のバランスを重視してきたけれど、今後はより環境に配慮した再エネの拡大が必要になる。政府が2018年に決めた「エネルギー基本計画」でも再エネの主力電源化は示されているんだ。
でも、再エネを主力電源化するには、供給面やコストなど課題が山積み。日本は2030年に再エネ比率22~24%を実現する目標があるけれど、2016年時点でまだ14.5%なんだ。

Q 日本で再エネが普及している地域は?

日本全体で見ると、太陽光や風力発電の普及率が高いのは、九州地方だ。天候や立地など再エネ発電に恵まれた環境があるからだね。九州には家庭の太陽光パネル普及率が全国で上位を占める県が多く、各地でメガソーラーの建設も進んでいるよ。なんと九州の太陽光発電の出力量は原子力発電所8基分にも相当するんだ。再エネの主力電源化を進める方針からすれば、とてもいい傾向に思えるよね。
でも実は、いいことずくめではないんだ。その出力量の多さが原因で、新たな課題が浮上している。その課題とは何か、続きは次回説明するね。

Q 電気の過不足はどんなときに起きる?

電気を安定供給するには、余裕ある発電量が必要になる。これを予備率といい8〜%が目安とされるが、予備が少ないと電気が足りなくなる可能性がある。夏場の日中や冬場の朝方などエアコンの使用が増え、たくさん電気が必要になるときだ。一方、穏やかな気候の春や秋は余ることもある。だから電気は常に不足・過剰になる危険性があるんだ。
電気は需要と供給のバランスを均等に保たないと、ひどい場合は停電が起きてしまう。もし足りなくなったときは、他のエリアから融通を受けられるけれど、余ったときはどうしているのだろう?

Q 電気が必要以上に余ったら?

2018年月、九州で大量に電気が余った。秋の過ごしやすい気候のうえ、週末で工場など大口の需要家が休業していたことから、電力会社が予想していた以上に電気が必要とされなくなった。一方、当日は晴天で太陽光による発電量が増加。九州エリアの需要はすべて太陽光発電だけで賄えるほどだった。需要に対し供給が上回りそうになったため、太陽光発電事業者に出力抑制・停止を依頼する「出力制御」が、離島を除く国内で初めて実施され、バランスが保たれたんだ。
これを含め太陽光発電の普及率が高い九州では、2018年度に計回も出力制御が行われた。今後もその機会は増え、制御対象設備の規模や実施エリアも拡大する見込みだよ。

Q 電気が余ったとき再エネを止めるのはなぜ?

前回は九州の事例を見ながら太陽光発電の出力制御を解説したね。でもなぜ再エネ拡大を目指しているのに太陽光を止めるんだろう。ほかに停止してもいい電源はないのかな……。
電力が余ってしまう場合、電源の特性(電気をつくる方法)を考慮して決めた「優先給電ルール」という約束に従って対応していく。どの種類の発電所から止めていくかといった優先順位のことだ。
具体的な順番は、①火力の制御、揚水の活用(余った電気を使ってダムに水をくみ上げるなど)②他のエリアへの送電③バイオマスの制御④太陽光・風力の制御⑤水力・原子力・地熱の制御となっている。でも、最後に止めるのが太陽光などの再エネじゃないね。なぜなんだろう?

Q 再エネ以外の電源が使われるのはなぜ?

上の⑤を先に止めれば、その分④の太陽光はもっと発電できるよね。それをしない理由はなんだろう。
⑤は「長期固定電源」と呼ばれ一度止めると元に戻すのにとても時間がかかるんだ。停止後、電力余りが解消され再稼働の作業をしても、電気が送られない状態がしばらく続く。そのときもし天候の影響などで不安定な太陽光が発電できなかったら、不足分は燃料費が高い火力発電で補うことになる。それは電気代の値上がりにもつながり、二酸化炭素(CO2 )もたくさん排出されてしまう。
電気の安定供給や環境への負担など、さまざまな事情を考慮して出力制御は行われているんだね。

Q 再エネを優先して系統接続すれば?

まず「系統」という言葉を説明するね。それは電気をつくる発電、電圧を調整する変電、送り届ける送配電、使う側の設備など全部をまとめた電力網のシステム全体をいうんだ。再エネ拡大を進めたいなら、その川上になる発電の部分を優先的に太陽光などにつなげばいいように思えるよね。
でも日本では電源の種類にかかわらず「先着優先」で系統に接続される。受け入れ可能な容量は電気事故などによる停電を防ぐため基本的には全体の50%程度に抑えている。使用申し込み順に容量は確保されるが、接続中の電源、まだ建設中でも先に申請した電源などがあり、最近できた太陽光発電は残りわずかな空きに接続を要請している。これは安定供給を維持するためできたルールなんだ。

Q 多くの再エネを接続するには?

では、もっと多くの再エネを系統に接続できるようにするにはどうすればいいんだろう。
日本では北海道、東北、東京といったエリアごとに電力系統が管理され、沖縄を除くエリア間で電気のやり取り(融通)が可能になっている。実際にエリア外に電気を送る「域外送電」も実施されているんだ。それを上手く利用すれば、受け入れ容量も増やせるだろう。ただ、現状では融通できる電力量が限られているんだ。それでも天気のよいエリアの太陽光発電を天気の悪いエリアに送るなど互いに融通しながら、より多くの再エネを接続できるよう連系設備の増強計画は進められているよ。

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