電線が3本のなぞ 三相交流とは何か?

前回は電気の「直流」「交流」の違いと、現在、発電所から送電される電気はほぼ「交流」であることを紹介した。その送電で使う電線は、電柱などを見上げて確認すればわかるが、基本は3本である。なぜ3本なのか、そこには「三相交流」という発電手法が関係している。
交流には「単相交流」や「三相交流」などがある。単相は、1つの交流電源で構成され、三相は単相を3つ組み合わせたものを指す。一般的に家庭内コンセントからの照明や電化製品は「単相100ボルト」、工場の動力など大きなエネルギーが必要な場所では「三相200ボルト」が、それぞれ使用される。また一般家庭でも大きなエアコンやエコキュートなどで「単相200ボルト」を使用することもある。
発電所の発電機は、円筒状に巻いた導線(コイル)の近くで磁石を動かすと磁界が動き電気が生まれる(電磁誘導現象)。コイルが1つなら発生する電流は単相に、コイルが3つの場合は三相になる。発電機の中では、どのコイルもN極やS極が近づいたり離れたりを周期的に繰り返す中で発電できる。また三相の電力は動力として工場の三相モーターにも多く使われるが、単相モーターより効率よく回転させられる。
このようなメリットにより日本をはじめ全世界で、大容量の電気を効率よく安全に送ることができる「三相交流」が利用されている。
発電された電気は、送電線・変電所・配電線・電柱まで三相交流で届く。動力設備を使用する場合は三相変圧器で変圧された「三相200ボルト」となる。さらに大きな設備の場合は、高電圧の三相のまま需要家に引き込み、施設内の高圧受変電設備(キュービクル)で変圧し電灯、動力回路に接続されていく。
家庭の場合、電柱などに設置された単相用の柱上変圧器で「単相100(または200)ボルト」へ変換され、家庭に送られる。

※ イラストは『イチから学ぼう デンキのキホン』(編集 日本テクノ)より。

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