環境省 災害シミュレーション 河川氾濫リスク2.28倍

温暖化想定で2019年台風19号を検証

 現在起きている気象現象が地球温暖化の進行した状況で発生した場合、どのような影響がもたらされるか。その検証を進めている環境省は2021年7月、統計開始以来最大の水害被害額を記録した2019年の令和元年東日本台風(台風19号)を対象にシミュレーション結果を公表した。

 「気候変動による災害激甚化に関する影響評価」の1年目の中間報告として示した。2019年の台風19号が、同じ位置で発生し、同様の経路を通過すると仮定。産業革命以降の温度上昇をある程度抑えた場合と抑制できなかったときを、それぞれ「2℃上昇シナリオ」「4℃上昇シナリオ」として、シミュレーションした。

 いずれのシナリオでも実際に発生した台風より強い勢力を保ったまま日本に接近し、雨量も増加する結果となった。温暖化による海面水温の上昇で台風への水蒸気の供給が増え、大気が蓄えられる水蒸気量が多くなるのが主な要因としている。
 洪水のリスクも高まる。中小河川の氾濫発生の目安(最大流量を上流の集積面積で割ったピーク流出高が1時間当たり30mm)を超える箇所が、2℃上昇シナリオでは現在気候に比べ1.44倍、4℃上昇シナリオでは2.28倍になった。実際の台風19号でも東日本全域で大きな被害が発生したが、その地域が拡大する可能性が示された。
 この評価報告は継続して行われ2年目は近畿地方などが大きな被害を受けた2018年の台風21号も対象に加えシミュレーションする予定。

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