農業生産現場の高温対策などまとめ

農水省「地球温暖化影響調査レポート」

 気候変動適応計画を策定し取り組みを進めている農林水産省は2022年9月、都道府県の協力を得て農業生産現場での影響や適応策などをまとめた2021年版の「地球温暖化影響調査レポート」を公表した。

 レポートは、地球温暖化による高温障害の影響や、それに対してどのような適応策をとったかなど、都道府県からの報告を整理し、関係者の参考になるようまとめたもの。2007年から同様の調査を毎年続けており、今回の対象期間は2021年1〜12月。
 水稲では31の都道府県から玄米が白く濁る白未熟粒の発生が報告された。対処のための適応策は、水管理の徹底、適期移植・収穫の実施、高温耐性品種の導入など。高温耐性品種の作付面積は前年に比べ8000ヘクタール増え、全国で16万1000ヘクタールになっている。
 果樹では、ぶどうとりんごで着色の不良や遅延が多かった。果実が大きく成長する時期以降の高温が原因になる。適応策として着色を気にしなくてもよい黄緑系品種や着色優良品種の導入などがなされている。また、うんしゅうみかんの日焼け果の発生も多く報告された。これには樹冠上部や表層の摘み取り、カルシウム剤の散布などの対応が示されている。
 そのほか野菜ではトマトの着花や着果の不良、花きではきくの開花期の前進や遅延、畜産では牛の乳量や乳成分の低下などが報告された。農水省は、レポートを参考に温暖化適応の取り組みが進むことを期待している。


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