脱炭素化の2兆円基金 続々始動

第1号案件は水素関連の実証研究

 脱炭素化を進めるための総額2兆円のグリーンイノベーション基金事業を運営する新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2021年8月、第1号案件に着手したと発表した。他の案件も続々と進行している。
 基金事業は、政府がグリーン成長戦略で示した14の重点分野を対象に、最長10年間、研究開発から社会実装までを継続支援するもの。経済産業省が分野ごとの計画を策定し、それに応じたプロジェクトを公募する。
 スタートした第1号案件は、水素に関する実証研究事業。タンカーをはじめ輸送設備の大型化などでのサプライチェーン構築、発電利用による大規模需要の創出、余剰な再生可能エネルギー(再エネ)を利用した製造など水素の社会実装に必要な技術を確立していく。国費負担の上限は、サプライチェーン構築に3000億円、再エネ由来の水素製造に700億円を想定している。
 続くプロジェクトも多数、公募や採択が進む。「次世代型太陽電池の開発」は想定上限498億円。ビルの壁面に設置できるような軽量薄型の開発に取り組み、実用化を進め2030年度までの市場形成を目指す。「洋上風力発電の低コスト化」は同1195億円。台風や低風速といった日本・アジアの海域の自然条件に合わせて風車や基礎部分である浮体の技術開発と実証を進め、着床式風力と同等の発電コストに近づける。
 そのほか次世代の航空機や船舶、燃料アンモニア、二酸化炭素(CO2)を使ったプラスチックやコンクリートの製造など野心的なプロジェクトが進められている。

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