改正省エネ法など可決・成立

2023年4月施行 需給構造の転換や安定供給を目指す

 省エネ法など関連5法を改正する法案が2022年5月、国会で可決・成立した。脱炭素化を進めるための需給構造の転換と同時に、安定的なエネルギー供給を確保するため制度の整備を目的とした。
改正法は一部を除き、2023年4月から施行される。改正されたのは、省エネ法、エネルギー供給構造高度化法(高度化法)、JOGMEC法、鉱業法、電気事業法の5つ。
 省エネ法では、合理化の対象に再生可能エネルギー(再エネ)など非化石の種別も新たに加え、化石燃料だけでなくエネルギー全体で取り組みを進めるようにした。一定規模以上の事業者には、非化石へ転換していく計画の作成を義務づけた。さらにDR(デマンドレスポンス) を促進するため、電気需要の「平準化」を、「最適化」と改め、電力の小売り事業者などに対して最適化を促す計画の作成(DRを考慮した料金メニューの整備など)を求めている。それらに合わせ法律名も「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」と改正した。
 高度化法では、水素とアンモニアを非化石エネルギー源に位置づけた。また二酸化炭素(CO2 )の回収・貯蔵設備(CCS)を備えた火力発電の利用も促進させる。
 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構について定めていたJOGMEC法では、法人名を「エネルギー・金属鉱物資源機構」に改称し、洋上風力発電のための地質構造調査を業務に加え、出資の対象に、海外の大規模地熱発電の探査、水素・アンモニアの製造・貯蔵、CCS事業などを追加した。
 鉱業法は、レアアースを鉱業権の付与対象に加えた。これにより採掘するには経済産業大臣の許可が必要になる。
電気事業法の改正は、主に安定供給の確保が目的。発電所の稼働状態を把握するため、これまで事後の通知としていた休廃止を「事前届出制」に改めた。また広域的運営推進機関と経済産業大臣の連携によって供給力確保の体制も強化した。さらに再エネ出力変動の調整などに役立つ大型蓄電池を発電事業として位置づけ、系統への接続環境整備につなげた。

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