【第4回】豊かな自然が持つポテンシャルを活用/松本市

新たな温暖化対策計画に注力

 北アルプスに象徴される豊かな自然に恵まれ、国宝松本城をはじめとする長い歴史と文化を誇る松本市。2001年には家庭用太陽光発電設備導入に向けた補助金制度を創設するなど、早くから環境問題に力を入れて取り組んできた。2011年には松本市地球温暖化対策実行計画を策定し、2016年に見直しを実施。松本市の温室効果ガス排出量は基準年の2007年に比べ減ったものの、この計画で掲げた目標値に対して最新の推計値では約10%の超過となっている。そのため温暖化対策を急務と捉え、次期計画では大幅な削減を掲げる考えだ。
 「松本市は2020年1月、EUが進めている世界気候エネルギー首長誓約の日本版である世界首長誓約/日本に署名し、また2020年12月には、臥雲義尚市長が気候非常事態宣言とゼロカーボンシティを表明。地域の特色を生かしながら、エネルギーの地産地消や省エネ推進、さらには気候危機に適応できる地域づくりを進めるために、現在、次期地球温暖化対策実行計画の作成に急ピッチで取り組んでいます」(環境エネルギー部 環境・地域エネルギー課課長補佐角尚也さん)

日本初のゼロカーボンパーク

 松本市には日本初のゼロカーボンパーク・中部山岳国立公園(乗鞍高原)がある。これは、乗鞍高原の観光地としての付加価値向上のため地域住民や民間事業者、観光協会らが一体となり将来のビジョンを策定する中で環境省が進める国立公園のゼロカーボン化に呼応したもの。

日本初のゼロカーボンパークとなった中部山岳国立公園(乗鞍高原)。


 「松本市は日照時間が長く、また湧き水や河川などの水資源が豊富なため、太陽光や小水力など再生可能エネルギー(再エネ)のポテンシャルが高いという特色があります。ゼロカーボンパークは豊かな自然環境の中で再エネ導入や脱プラスチック活動などを生かした観光地づくりを進めていく松本市らしい取り組みといえます。このゼロカーボンパークも含め、今後も市の特色を生かし、事業者や市民の皆様にも主体的に取り組んでもらいながら、2050ゼロカーボンシティを実現したいと考えています」(角さん)
 現在、ゼロカーボンシティ実現に向けて力を入れているのが事業者・金融機関・専門家・大学および行政で構成する「再生可能エネルギー推進組織」の設立である。地元の信州大学と松本市で検討を進めてきた。再エネを基軸に各パートナーが主体的にあるいは連携して取り組み、ビジネス化できるスキームを探る。
 「この取り組みはどちらかというと、再エネを切り口に事業者が収益を上げるのをコーディネートしていこうという試みです。市としてはビジネスが定着し、再エネの導入が進んで、温室効果ガスの削減につながればと考えています。こちらの組織は2021年中の立ち上げを予定しています」(角さん)
 行政と事業者、そして市民が協力し、三位一体となってゼロカーボンシティを実現する。そんな理想的な取り組みを松本市は推進しようとしている。
こぼれ話

実は松本市は、50Hzの電気と60Hzの電気の地域が混在する、日本でも珍しい自治体です。市内での電力の融通が難しいことから、再生エネルギーについても地域に根差した在り方を模索されています。「再生可能エネルギー推進組織」もその1つで、多くの自治体が自治体新電力の設立を通じ、売電による収入増を目指すなか、松本市は地域経済を支える事業主体の形成を図っており、そこに独自性が感じられます。
写真の乗鞍高原も風光明媚な観光地ですが、日本初のゼロカーボンパークであるということは今回の取材で初めて知りました。観光を切り口にした付加価値の創造にゼロカーボンが使われるというのも今という時代性を感じました。

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