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新装版 ことわざの生態学 ── 森・人・環境考

古来の言葉と環境知識

古くから言い伝えられてきた慣用句やことわざ、故事成語を見出しに立て、そこから想起される自然環境やそれに対する人の行い、さらには環境問題への提言などを軽やかな口調でつづる。1997年に刊行され森林生態学の入門書として読み継がれてきた書籍の新装版。初版から20年以上たつが内容は少しも古びていない。
森林生態学という耳慣れない学問に加え、重々しい故事成語となると難解なイメージを持つだろうが、その懸念はぱらぱらと拾い読みするだけですぐに消える。逆に、親しみやすい文体が、古来の言葉の深みと森林を軸にした環境知識とをすんなり頭の中に溶け込ませてくれる。
例えば「落らく葉よう帰き根こん」という言葉を「故郷へ錦を飾る」といった意味だと紹介し、それを樹木の営みに当てはめる。落ち葉の重さは枝にある葉より1〜2割軽く、それは落ちる前に養分を樹体に戻す転流という作用が働くからだと説く。転流が起こると変色して赤や黄になり、離層ができて枝から落ちる。「葉は、こうして自ら死んで行く前に養分を親元に戻しますが、そのあともただ死んでゆくだけではなく、土の上に落ちた枯れ葉はやがて腐ってその養分をすべて土に戻し、それはまた次の光合成に使われます。葉は律儀者の見本みたいです。」(53頁)。
環境分野の基本から雑学的な知識、そして日本語の語彙も増やしてくれる1冊。

丸善出版 2,200円+税
只木良也 著
名古屋大学名誉教授。農学博士
1933年京都市生まれ。1956年京都大学農学部卒業。農林省林業試験場勤務・研究室長を経て、信州大学理学部教授、名古屋大学農学部教授、プレック研究所生態研究センター長、国民森林会議顧問。専門は森林生態学、造林学、森林雑学。

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