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生き物の死にざま

身体を捧げ命をつなぐ「生きる姿」

好評連載記事「地球の仲間を守る生物多様性レポート」で紹介してきた方々の多くは、「まずは知ってほしい」という言葉を口々に語っていた。生き物たちの、美しい姿形、複雑で精巧な体内の仕組み、驚異の身体能力……。それらを知れば、「大切にしよう」と頭ごなしに叫ばなくても、命に対する畏敬の念は自然に芽生え、慈しむ気持ちとともに生物の多様性を保全しようという行動へつながっていく。
本書は、「生き物たちを知る」のに最適な1冊だ。タイトルにある「死にざま」の通り、各種生物の最期の様子が描かれる。だがそれは同時に、全力で生き、身を投げ出してでも次世代に命をつないでいく彼らの姿でもある。
土から出て成虫として一夏の命を終えるセミにはじまり、死を悼む動物といわれるゾウまで29の生き物を叙情性豊かな文章で紹介する。いずれもあっぱれな生涯だ。
「成虫になったカゲロウは、餌を獲ることはない。それどころか、餌を食べるための口も退化して失っている(中略)餌を食べて自らが生きることよりも、子孫を残すことの方が大切なのである」(48頁)。
ハサミムシの母親は数十日間飲まず食わずで卵を世話し、生まれた子どもに自分の身体を食べさせ世を去っていく。生きて死ぬーー地球の仲間の営みを1つでも多く知るのは、きっと想像以上の価値がある。

草思社 1,400円+税
稲垣栄洋 著
1968年静岡県生まれ。静岡大学大学院農学研究科教授。農学博士。専門は雑草生態学。
岡山大学大学院農学研究科修了後、農林水産省に入省、静岡県農林技術研究所上席研究員などを経て、現職

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