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この本は環境法の入門書のフリをしています

ユーモラスに語る法律のできていく過程

 大気汚染防止法、温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)、生物多様性基本法、さらには動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)など、広範な環境関連法について、成立の過程や概要、課題などを紹介する書籍。
そんな法律名だけを見れば、堅苦しい内容だとイメージするかもしれない。だが、1頁でも目を通せば、そこに流れるコミカルな文体が誤解を解いてくれる。法律の条文がなぜわかりにくいのか解説したあと、「法学部出身者でも、同じように面倒なのです。誰でもそうだと思って、溜飲を下げて下さるようお願いします」(43頁)とへりくだる。目次に並ぶ見出しは「アセス世界大戦」「エビはサングラスをかけますか?」「どうしたら回るリサイクルサイクル」など、ゆるさを伝える。柔らかい表現を重視したせいか、本題がかすむ部分も見受けられるが厳格を求めれば本書の特徴も失われるだろう。
著者は環境省の元事務次官。環境基本法など数々の環境法立案に参画してきた。実際に法律をつくった当事者だから書ける裏話も多く盛り込む。例えば内閣提出法案の策定。そこには認可や罰則など法律事項を含むのが原則で、行動計画や国際要請への対応指針などだけでは法案にならない。そこで、発動の可能性が低い罰則を付け加えたりする、と打ち明ける。法律のできていく過程も、環境法の概要とともに知得できる1冊。

信山社 880円+税
西尾哲茂 著
1972年東大法学部卒、同年環境庁入庁。2001年環境省自然環境局長、以後官房長等を経て2008年環境事務次官。この間、公害健康被害補償法、環境影響評価法案、自動車NOx・PM法、環境基本法、地下水浄化命令、土壌汚染対策法、VOC規制、石綿被害救済法の立案、自然公園整備事業の公共事業化、エコポイントの実施などに参画。2009年退官。2010年早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科教授、2011年から2017年まで明治大学法学部教授。

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