日本商工会議所 温暖化対策から経営課題の解決へ 業務改善や利益確保など経営課題の解決で推進

2017年12月、日本商工会議所(日商)は中小企業の地球温暖化対策を後押しする「商工会議所環境アクションプラン」を発表した。同年3月、中小企業の温暖化対策に関する調査結果とそれに基づく取り組み促進の提言を公表していたが、今回はそれを踏まえ、内容をより具体化した。
策定した「商工会議所環境アクションプラン」の基本コンセプトは、「経営課題の解決with省エネ」。これまでの「まずは省エネありき」の方向性から転換する。経営改善や業務効率化を前面に置いた取り組みの中で、省エネの視点も加えるというアプローチ策に切り替える。例えば、「社員の負担を増やさず納期短縮」の業務改善を目指すとき、省エネ設備導入による生産効率の改善を図れば、相対的にエネルギー消費は削減され、温暖化対策に貢献できる。
プランでは、日商と各地の商工会議所が行う取り組みを分けた。日商は、取り組みのリスト、成功事例、国からの支援制度といった情報を提示していく。各地商工会議所は、地域版のアクションプランの策定、地元自治体などへの連携の呼びかけ、優良企業表彰制度の創設などを行うとともに、対象となる中小企業の取り組みを支援していく。
個別に行う支援は、①各地商工会議所と各中小企業で、経営課題を把握②取り組みの方法を提案③行政などが用意する制度を活用し、方向性を確認④計画の策定・活動の実施⑤結果を検証──といった流れ。検証後、再度計画を見直し、PDCAサイクルを通して活動を継続していく。
「スモールスタート」&「長続き」をキーワードに、できることから始めるよう働きかける。ただし、基本スタンスとするのは、あくまでも「自主的な取り組みの促進」。日商は、各商工会議所や中小企業に対し、数値目標や報告義務は求めない。
アプローチ策を従来型から転換

日本商工会議所
全国の主要都市にある約500の商工会議所を会員とし、そのまとめ役を担う中央機関。1922年に商業会議所連合会を改編して設立。前身をたどれば1878年設立の東京商法会議所にまでさかのぼる。略称は日商。
全国の各商工会議所の意見調整や公表、国内外の経済状況や地域活性化推進のための調査研究、経営指導など中小企業振興事業、各種技能検定といった活動を行っている。経済三団体の1つ。

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