【レポート】2026サステナビリティトレンド 排出量取引、中小企業にも波及
2026年4月、改正GX推進法が施行され、直近3年の平均で二酸化炭素(CO2)の直接排出量が10万トンを超える企業に排出量取引制度(GX-ETS)への参加が義務づけられた。対象企業は約300〜400社。電力、鉄鋼などエネルギーを大量に使う大手企業だ。中小企業には無関係に思えるが、この法改正で大手企業はサプライチェーン全体を通した排出量削減の動きを加速させると見られている。

肯定的視点でビジネスチャンスへ
温室効果ガス排出量をカウントする単位は、製造過程などで直接排出するスコープ1、他社から供給された電気などの使用で間接的に排出する量を含むスコープ2、原料調達、物流、販売などサプライチェーン全体も加算するスコープ3がある。このスコープ3を把握するため、中小企業に「排出データの提出」「削減目標の共有」を求めるケースが増えているのだ。
取引先からの協力要請を受けたことがあると答えた企業は、2020年から2023年にかけて3.5ポイント増加し8.7%になった(2024年版中小企業白書)。業種別に見ると、建設業、製造業、運輸業、小売業が顕著で5弱〜6超ポイント増加している。取り組みの姿勢がなかったり不足していると判断された場合、「環境負荷が高い」とみなされ、取引見直しや契約解除の対象になるリスクすらある。

今回の法改正は、企業規模にかかわらず日本全体の排出量削減対策の転換点になり得るということだろう。排出削減の取り組みに対し、コスト上昇の要因だとネガティブに捉えるのではなく、国や自治体などが提供する補助金や投資促進制度を活用しながら進めていくのが得策だ。流れに乗ることで「自社を将来的な価値基準のスタンダードに合わせられる」というポジティブな視点を持つ中小企業が優位に立てる。
GX-ETSは2050年カーボンニュートラルに向けて産官学が連携して経済・社会を動かす枠組み「GXリーグ」内で運用される。そして、このGXリーグには中小企業も参加が可能だ。GX-ETSの対象である大規模排出事業者は「グループG」。対象外の企業が自主的に参加するのが「グループX」。後者に参加し、削減計画の公表などを通じて取り組みを推進していけば、社会的評価の向上につなげられる。それは受注拡大のきっかけにもなっていくだろう。
また、中小企業が排出削減量をクレジット化できる「J-クレジット」を利用し排出枠の供給側としてGX-ETSに参加することも可能だ。そこで得た利益を排出量削減の再投資に回せば、取り組みはさらに加速できる。
日本の企業数の99.7%を占める中小企業の排出量は全体の1〜2割だといわれる。それでも、そこに含まれる事業者の取り組みがなければ、2030年の温室効果ガス46%削減目標、および2050年カーボンニュートラルの実現はおぼつかない。大手企業の中にはサプライチェーン全体の活動を推進するため、取引先に対して技術的な支援を行う企業もある。経済界が一体となって進んでいく機運を上手に利用することが最良の選択といえるようだ。
まずは関連情報の収集から始めるならば、スコープ、GX支援制度、国際的指標のSBT認定などについて記した本コーナーのバックナンバーが参考になる。
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