• 中小企業のSDGs
  • 企業の事業内容に沿って、どのようなSDGsの目標達成が図れるのかを解説していく

【第12回】卸・小売業 100周年を機に考えたこの先も持続可能な企業像

企業の事業内容に沿ってSDGsの目標達成を考える本コーナー。今回は卸・小売業のSDGsに関する取り組みを紹介する。

 

 測量器具の製造販売に端を発し、現在は「測る、量る、計る、図る」を主軸に建設業向けITソフトやオフィス家具など幅広い分野でサービスを提供する株式会社久永(鹿児島県鹿児島市)。2019年に創業100周年を迎えた際、代表取締役の久永修平さんは以下のように考えた。

「100周年を前に、私たちが今後も生き残るために重要なことについてずっと考えていました。そのときにSDGsの存在を知り、今後100年も社会に必要とされる会社になるには、これらのゴールを自分事として捉え取り組む必要があると感じました。そこで100周年の節目を機にSDGs宣言を行い、自社の経営方針と親和性の高いゴールを、事業に取り入れていくと社内外に公表しました」

 意思表示後の2022年、それまでの社是・社訓にかわり経営理念「地域に根差し、地域と社員が共に成長し、常に地域に貢献する企業を目指す。」を定めた。現在はその経営理念に沿いSDGsとリンクする4つの目標を掲げ実践している。

 

経営理念に沿ってSDGsとリンクする4つの目標を掲げている

 

 SDGsの普及活動では、鹿児島県をはじめとする自治体などと協同した取り組みも行っている。

 たとえば2023年4月の「メグルカグプロジェクト」。一般社団法人 大崎町SDGs推進協議会と協力し、廃棄予定だった小学校の椅子136脚と学習机119台に価値を付加して再生するアップサイクルを呼びかけた。周辺企業や個人にアップサイクルのアイデアを募ったところ、多数の申し込みがあり、すべて再利用が図れた。

 ちなみにこの活動は日頃からオフィス家具の廃棄などに心を痛めていた社員の発言がきっかけだった。

 2022年9月にはSDGsを自分事として捉えて取り組む契機になるよう各事業所でチームを結成し、自分たちが今できることについて考え発表する“Hisanaga SDGsアワード”を開催した。久永さんは「最近のSDGsに関係する取り組みを見ていると、徐々に社員が変わってきていることが実感できます」と話す。

 次の100年を視野に入れ、引き続き社員一同で力を合わせ、地域に根差し貢献する持続可能な企業を目指していく。

 

Hisanaga SDGsアワードの様子。右端が久永修平さん
社内の掲示物。SDGsについて取り組む内容を各社員が宣言している

こぼれ話

 100年続く企業がさらにこの先の100年を視野に入れ、サステナビリティを意識した業務目標とSDGsの紐づけに取り組んでいる。そのお話を伺ったのは当社サービスの導入事例を作成するために株式会社久永さまにお伺いしたときでした。

 電気を「見える化」する当社サービスを導入し、空調の使用法を工夫するなど電気のムダな利用を減らしたほか、オフィスに太陽光発電設備を導入してエネルギー由来のCO2排出量を削減するなど、サステナビリティを意識した事業運営をされています。

 また、社員の健康にも目配りするなど、次の100年も成長していこうというお気持ちが深く伝わってきました。 なお、久永様の当社サービス導入事例はこちらからお読みいただけます。

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