• 中小企業のSDGs
  • 企業の事業内容に沿って、どのようなSDGsの目標達成が図れるのかを解説していく

【第4回】重要な要素 「理解」── 取り組みに欠かせないもの

企業の事業内容に沿ってSDGsの目標達成を考える本コーナー。今回は中小企業がSDGsに取り組むにあたって重要な要素は何か改めて考えたい。

 前回は事業を通じたさまざまな取り組みとSDGsを関連づける手法について説明した。例えば「アイドリングストップを実施している」「クールビズを実践している」といった事柄を、SDGsの目標(ゴール13など)と結びつけアピールする。そうした取り組みが中小企業のSDGs定着につながっていくという内容だった。
一方でSDGsは17の目標(Goal)と169のターゲットがあり、一企業が一度にすべての目標に取り組むのは現実的でない。実現の第一歩としては、自社事業と親和性の高い目標を選び、取り入れることになる。その際必要なのが、事業内容、経営理念、企業風土などすべてを含む自社全体に対する「理解」だ。
この自社に対する理解を前提に、選択した目標と照らし合わせ、「なぜその目標に取り組むのか」「その目標を事業に組み込むことが、どのようなメリットをもたらすのか」などを深く考察する。
そして、考察から導いた答えを、もう一度「理解」する。経営陣も従業員もこの2つの理解を持つことで、SDGsへの取り組みは、企業にとっても社会にとっても大きな利益をもたらす結果につながるだろう。
また業界の動向や法規制を注視し、理解しておくことも大切だろう。地球温暖化への対応で日本を含む先進各国は温室効果ガス削減目標を上方修正し、多くの先進企業も取引先に再生可能エネルギー100%で製品をつくるよう求め始めた。
そうした社会の流れを理解したうえで主体的にSDGsに取り組むことは、変化への対応が柔軟にできる、強い企業体質を生む。
自社事業の位置づけを深く分析し、考察したうえで事業戦略を練る。それができた企業にとってSDGsの各目標は、全力で取り組む価値のある明快な指標となる。自社の位置づけを深く問い続けながら業務に取り組むことが、結果としてSDGsの実現にもつながっていく。

SDGs 豆知識 ④

「SDGsウォッシュ」という言葉をご存じだろうか。これは粉飾・ごまかしを意味する英単語「ホワイトウォッシュ」に端を発した表現で、SDGsに取り組んでいるように「見せかけている」企業を批判する表現である。
表面的にSDGsに取り組んでも、得られる効果は少ないだけでなく、外部から「SDGsウォッシュ」と指摘され、批判されることもある。自社の存在意義や業務の目的などをよく考え、そのうえで、どのように取り組めばSDGsの実現につながるのか、その点を常に意識しながら、実践していくことが重要である。

関連記事一覧