• 中小企業のSDGs
  • 企業の事業内容に沿って、どのようなSDGsの目標達成が図れるのかを解説していく

【第13回】創業者の思いを連綿とつなぐSDGs

企業の事業内容に沿ってSDGsの目標達成について考える本コーナー。今回は機械製造業の企業が取り組むSDGsを紹介する。

 

 主に流体・ガス・配管に関する部品製造を行い、2024年7月に創業51年目を迎える神奈川県相模原市の株式会社リガルジョイント。広報担当者によれば創業者の稲場久二男氏が起業した当初から同社ではサステナビリティを意識した事業運営がなされていたという。「事業を通じて困っている人への援助や積極的な障がい者雇用などを実行したほか、環境問題に深く関心を持ち、2020年に逝去するまでオゾンを活用した環境機器や高効率な熱交換機など、環境負荷を改善する製品を開発してきました。昭和という時代ならではの取り組みもありましたが、今風に言えば課題解決型スタートアップ企業になるでしょう」

 そうした創業者の姿勢を象徴するのが2008年に完成した5階建ての本社ビルだ。雨水循環装置による雨水再利用システムや、これまでは捨てられていた廃熱を活用した空調システムの構築、屋根上太陽光発電の導入など、当時の先進的な技術を取り入れ、「第1回かながわ地球温暖化対策大賞」などを受賞している。その外観も古来より倒壊することなく存在してきた五重塔に着眼し、風の分散によるビル風防止や直射日光を防ぐため各階に屋根を付けるといった工夫が、随所に施されている。

5階建ての本社社屋。あえて目に優しいグリーンで仕上げ、周辺環境との調和を図っている

 

 SDGsが注目を浴びたとき自社の事業や取り組みを改めて17の目標に紐づけてみたところ、従業員満足を考えて行う福利厚生の充実などがゴール8「働きがいも経済成長も」に、環境改善製品の提供はゴール14「海の豊かさをまもろう」に、それぞれ相当するなど13の分野で関連があった。

 

「そこから始まって当社ではSDGsを意識した新たな取り組みが生まれています。例えば、女性活躍を推進するえるぼし企業認定の準備や、格差のない雇用の推進など、社員の活躍できる環境整備が進んでいます。今後は、オフィス空間の美化やフリーアドレス化、紙資料の削減などにも取り組んでいきます」(広報担当)。現在同社では部門横断プロジェクトを通じ、業務改善や環境改善に取り組んでいるという。

 稲場久二男氏が残した精神は、SDGsという明確なゴールとなり、今も次世代に受け継がれている。

 

こぼれ話

株式会社リガルジョイントの本社がある神奈川県相模原市は日本テクノの創業の地でもあります。長くお付き合いいただいているユーザーさまで、当社の相模原営業所などがあるソーラーパワービルから徒歩10分くらいの距離です。創業者の稲場久二男氏はサステナブルな事業運営もそうですが、困っている人を助けたいという思いの強い方だったようです。例えば東日本大震災の時は工場で使用していないコンテナ10台を被災地に送ることを決断。大型のコンテナを工場で解体して運び、現地で溶接して避難施設などに活用いただきました。

そんな同社が現在力を入れているのがSDGsであり、同社ホームページを見ていただければ、多岐にわたる取り組みを進めている様子がうかがえることと思います。

ちなみに私は生き物が好きなので、同社の敷地内の池で毎年春に卵を産むカエルをマスコットキャラクター「リガエル」とされていたことをうれしく感じました。リガエルはここの下の方で紹介されています。

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