• Eco Story
  • 時代の流れとともに変化してきた環境問題に対する企業の取り組みを紹介します。

清潔に、快適に、美しく「環境保全」#20/TOTO株式会社

 TOTO株式会社(以下、TOTO)は1917年の創立以来、水まわりの総合メーカーとして「水の大切さ」を伝え続けてきた。いまや世界的課題となっている「水資源の枯渇」や「地球温暖化」が深刻さを増す中、蛇口をひねる、トイレを流す、シャワーを浴びるという行動が繰り返される毎日でも、誰もが節水や二酸化炭素(CO2)削減ができる、環境性能の優れた商品を世界中に届けている。

ネオレストNX。「ウォシュレット®」の機能部分を包み込むような形状の開発に成功した。

トイレ洗浄水は40年前の約3割

 水を使うだけでもCO2排出量は増加する。浄水場、各家庭へ届けるポンプ、下水処理場などで大きなエネルギーが使われているからだ。家庭でお湯を使えば、加熱のためにさらに排出量は増える。
 よって節水を進めれば、省エネルギーによる温室効果ガス排出削減につながる。TOTOはその効果にいち早く着目し、商品開発を進めていった。1976年に洗浄水量13リットルの節水便器(当時)を発売以降、水の流れや便器の構造を研究し、創意工夫を重ねる。トイレを快適に使用しながら確実に汚物を排出・搬送できる水量の削減を行い、現在は節水技術を進化させ3.8リットルで洗浄できる節水便器を発売するなど、この40年間で洗浄水量を約70%削減している。
 しかし、そんな優れた環境性能も、商品が広く普及しなければ効果は限定的だ。蛇口をひねれば、いつでもきれいな水が流れる地域ではさらなる啓発活動が必要で、使用者の節水意識向上なくして、それ以上の普及は見込めない。
 そこで同社ではホームページや学校への出張環境教育などを通じて、水の大切さを伝える活動を実施している。特に手洗いや歯磨き時の節水は、幼少期からの意識づけが重要なのだという。
 そうした活動を通して、毎日使う水まわり商品が、節水性能の高い商品に替わることの有用性に気づいてもらえばいいと考える。無理な節水は長続きしないが、無意識の習慣や商品による節水によって快適に日常生活を送れるよう、同社は新たな水まわり文化を提案し続ける。

 2014年に「TOTOグローバル環境ビジョン」を策定し、環境への取り組みをグループ全体で加速させるための指針づくりにも力を入れる。数値目標を項目ごとに設け、4.8リットル以下の節水便器出荷率国内70%、海外80%、事業所からのCO2排出総量35.2万トンなどの目標に対し、確実な成果をあげている。
 社是の一つである「良品と均質」に徹底してこだわり、「良いものを作り、お客様に満足していただく」という姿勢も代々受け継ぐ。2017年、創立100周年を迎えた同社は、その次の100年に向け、培ってきた衛生陶器の粋を尽くし、デザインと機能を高度に融合させた水まわり商品の開発を進めている。
 世界中の水まわり空間を、清潔に、快適に、美しく高めていくとともに、広く社会や地球環境に貢献する存在を目指していく。

TOTOの「グローバルで取り組む6つのテーマ」。
「水を大切に」では商品使用時の水消費量を7億㎥削減、
「温暖化を防ぐ」では同CO2排出量を330万トン削減というように、
テーマごとに数値目標などを掲げ取り組みを推進している。

こぼれ話

社是の1つである「良品と均質」は、1962年に5代目社長の江副孫右衛門氏が制定したもの。「良品」はそのとおりの意味だと思いましたが、「均質」とはなんだろう?と考えました。実は陶器である便器は、窯で焼くと、もとの大きさから約10%も縮んでしまうそうです。設計時は、その縮小分を正確に逆算しなければならず、製造工程でもほぼすべてにおいて人の手がかかっています。熟練の職人が「均質」にこだわって作っているからこそ、毎日快適に使用できるのだと改めて感じました。

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