• Eco Story
  • 時代の流れとともに変化してきた環境問題に対する企業の取り組みを紹介します。

フードロスゼロへ「これからの食卓、これからの畑」

 オイシックス・ラ・大地株式会社は農業生産者と消費者をつなぐ、食品の宅配事業を手掛けている。2023年9月末時点の会員数は約50万人、ネットワークに属する生産者は4000軒を超える。

「当社は食に関する社会課題をビジネスの手法で解決し、豊かな地球の未来をつくるべく2000年に創業しました。企業理念に“これからの食卓、これからの畑”を掲げ、地球にも人にもよい食を提供するサステナブルリテール(持続可能型小売業)として、フードロスゼロ・カーボンニュートラルに取り組んでいます」(執行役員 経営企画本部 グリーンプロジェクトリーダー 東海林園子さん)

 同社のビジネスは川上(畑、産地)・川中(流通)・川下(食卓)とサプライチェーン全体に密接に関連する。川上で収穫した作物は川中の流通網により高鮮度のまま消費者すなわち川下に届く。定期配達事業では独自のプログラムでユーザーの注文傾向を分析。さらに生産者との直接取引により作物状況のデータを収集することで、需給のマッチング作業も行う。フードロス削減にもつながり、一般的な食品小売業の場合、フードロスは平均で5%以上と言われるが、同社は約0.2%だ。

消費者への提供食材は4000軒を超える農業生産者とのネットワークが支える

 食材も一般的な収穫野菜に加え、調理時にロスを出さずに済むよう、必要量の食材とレシピがセットになったミールキット「Kit Oisix」を提供するなど工夫を凝らす。ほかに自然環境の影響で突発的に生じる規格外品や豊作の余剰品などを応援販売する「おたすけOisix」、これまで廃棄していた未活用品を野菜チップスなどに加工して提供するアップサイクル品「Upcycle by Oisix」などを用意する。

 サプライチェーン全体で多面的に価値を付加していくことで、事業は高効率になり、環境への負荷は低いものになる。2022年度は産地のフードロス約446トンの削減を実現した。

 食を通じた社会貢献活動にも取り組む。ひとり親世帯などの食事問題を解決するため、賛同する企業からの提供食品を取りまとめ支援団体を通して家庭に届ける「WeSupport Family」がその一例だ。

 さらに2015年には保育園向けに食材提供を開始。2022年からは保育園給食向けに業務用ミールキット事業を始めた。保育園が抱える人材不足や個々の業務負担増への対応、家庭における食育支援などの一助となることを目的とした事業である。

20分で2品つくれる食材セット。レシピに沿って調理すればフードロスも削減できる

「近年は他社および他団体との協業により広くフードロスの解決に取り組んでいます。また、未来を担う小中学生にサステナビリティへの関心をもってもらえるよう出前授業やアップサイクルメニューの共同開発なども行っています」(東海林さん)

 食に関する課題をビジネスの手法で解決し、持続可能な社会の構築に貢献する同社。フードロスがゼロとなる日は遠くない。


こぼれ話

今回、この取材のタイミングでオイシックス・ラ・大地さまはオイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブのメインスポンサーになることが決定していたようで、取材数日後にニュースリリースを発表されておりました。マスコミ対応でお忙しいなか、ご対応いただき誠にありがとうございました。 そうしたなか、当媒体の発行目的と取材意図をご担当者に説明したところ、意図をくみ取ってくださり、メールによるインタビューが実現しました。

同社の取り組みはサステナビリティや企業の社会的責任(CSR)などを意識したものが多く、残念ながらそのすべては紙面で紹介しきれませんでした。その他の取り組みが気になる方はぜひ同社の「サステナビリティページ」をご覧ください。

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