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  • 東日本大震災から復興への歩みをみせる被災地の企業や日本テクノの取り組み

再起への奮闘が 助けてくれた人たちへの恩返しScene 45

1962年創業の株式会社大塚製作所はプラスチックの射出成形を行う栃木県鹿沼市の企業。自動車部品・玩具・事務用品などを中心に手がけてきた。昨秋の台風19号で鹿沼市はこれまでの最高雨量を記録。工場の近くを流れる思川が氾濫し、あたり一帯が水に浸かった。
代表取締役の大塚順一さんは「工場は思川のすぐ横ですが、ハザードマップの警戒区域でなく、むしろ自宅のある山の方が土砂崩れなどの被害に遭うかもしれないと思い、警戒していました。ところが、夕方に工場近隣の方の連絡で慌てて駆け付けたらすでに水が腰上まで押し寄せており、工場まで近づけませんでした」と話す。
翌日、大塚さんが工場に駆け付けたところ、射出成形機は11台が全損、出荷を待つ完成品および原料も汚泥に埋まっていた。屋外にあるキュービクルの汚水の跡は浸水が150cmにも及んだことを示していた。

退水直後の工場内の様子とキュービクル。

「被災した翌日には取引先やメーカー、地元の友人や同業者、それに遠い親戚の方まで来てくれ、汚泥の掻き出しを手伝ってくれました。感激しましたね。射出成形は発注者から金型を借り受け製品を製造しますが、金型が錆びてしまうと二度と使えません。その金型を顧客が引き取りに来てくださり、重要なオーバーホールを全型請け負っていただき事なきを得ました」。
予想もできなかった災害に襲われ、失意の中、粛々と後片づけをする大塚さんの脳裏には、廃業の二文字もよぎったという。だが、最終的に助成金などを活用して事業の立て直しを決意。新たな射出成形機9台を揃え、扉を補強するなどの出水対策も行い、事業を再開した。被災から約半年、ようやくの再出発だ。

「新型コロナウイルスの影響で売上の戻りは鈍く、被災前の2割程度。社員も交代で勤務しているような状況です。しかし、その社員も復活の日を信じてついてきてくれています。そうした社員の思いに応えたいですし、いま必死になって頑張ることは被災直後に助けてくださった皆さんへの恩返しにもつながると思っています。まずは被災前の売上水準に戻すべく、奮闘を続けます」。
新型コロナウイルスの流行により、依然として状況は流動的だが、工場設備などの環境が整った今、大塚さんの再起に向けた決意は揺らがない。

こぼれ話

水没した機器や製品を目の前にして、事業を再建するかどうか、大塚さんは悩みに悩んだそうです。しかも現状は新型コロナウイルスの影響が重くのしかかり、被災前の2割程度の売上とあって、苦しい日々が続いています。
「応援してくださった皆さんがいるから、自分もがんばり、その姿を皆さんにお見せすることが恩返しになると思っている」。取材中、大塚さんは何度もこのように話しました。
その目は輝きを失っていませんでした。従業員や関係者ら皆さんの思いを背負い、復興にかける意気込みに深く感銘を受けました。

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