• Eco Story
  • 時代の流れとともに変化してきた環境問題に対する企業の取り組みを紹介します。

「窓」で見晴らす環境配慮#17/YKK AP株式会社

 YKK AP株式会社は「窓」を中心に、各種建築用製品を通して暮らしに先進の快適性を届けている。 「消費者に申し分のない品質を安定して提供するには最も適した材料を原料からつくる」というYKKグループの創業者・吉田忠雄氏の考えにより原材料だけでなく工作機械から自社製造。さらに受注から現場納入まで一貫して管理するビジネスモデルを他社に先駆けつくり上げた。
 日本の窓は断熱性能が相対的に低く、性能に大きな課題がある。冬に暖房の熱が逃げる割合は52%、夏の冷房中に入ってくる割合は74%(図参照。同社調べ)にも及ぶといい、エネルギー消費で大きなウエイトを占める冷暖房の負荷低減には、熱の出入りが大きい窓の断熱性能を上げることが重要だ。 窓のガラスは複層や低放射といった省エネ対応のものが一般化してきたが、問題は枠にある。日本のサッシの大半は枠がアルミでできているが、その熱伝導率はアルミと樹脂で約1400倍も異なる。だが樹脂の普及は進んでおらず、6割を超える欧米に対し、日本は15%にとどまっている。

家屋の熱の流出入の割合

 YKK APは1983年から「樹脂窓」の販売を開始。2009年からは高性能樹脂窓「APW330」を展開しており、政府もこれを後押しする。2014年に施行された改正省エネ法では、窓などの建材もトップランナー制度の対象とし、2020年までに住宅の省エネ基準への適合を義務化することを決めた。
 同社は窓の重要性を多くの利用者へ伝えるため、生活者検証による商品開発に力を入れる。同社の技術の総本山、富山県黒部市にある「価値検証センター」では実際の環境を想定した検証や解析に加え、モニターに商品を使ってもらい、生活者視点の意見を蓄積。そこから潜在ニーズを発見することで、さらに使いやすく進化させて快適な暮らしを形にして提供する。
 20年以上前に建築された日本の家が断熱性の高い樹脂窓になれば、3300万トンの二酸化炭素(CO2)の排出を抑えることになり、日本中の全国民が一人当たり20本のスギを50年育てていくのと同じ削減効果になるという。

窓のフレームが樹脂でできているものを「樹脂窓」という。
熱の伝わりにくい樹脂素材が使用され、断熱、遮熱、機密性に優れている。

樹脂窓がCO2排出削減

 社会全体のCO2排出削減に貢献することが責務と考えるYKK AP。“商品”だけでなく“モノづくり”の過程でもエネルギーの「見える化」や待機電力の削減、工場内の照明のLED化などを推進。さらに、材料の調達から製造、使用、廃棄までの事業領域においても環境影響項目を掲げ、環境政策として取り組んでいる。住まいのあり方が変わり、窓に求められる役割も変わってきたが、同社が追求してき た“モノづくりへ”のこだわりは変わらない。

こぼれ話

 YKKと聞いてすぐ頭に浮かぶのは「ファスナー」という方は多いと思います。事実、ファスナーの売上世界シェアは、なんと45%を誇ります。ではなぜファスナーメーカーが窓を?と素朴な疑問を持ちますが、ファスナーで培った樹脂加工技術が、窓枠製造にも生かされているのです。また、YKKがブラジルでコーヒー農園を営んでいることをご存知でしょうか。衣(ファスナー)、住(AP/窓)に加え、食(コーヒー)を企業経営の基本と考えているからこその発想です。2016年1月には、東京都内にカフェをオープン。私たちの生活をより豊かにしてくれる企業であるとあらためて感じました。

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