「美しい知恵 人へ、地球へ。」のプロジェクト#08/株式会社 コーセー
「美しい知恵 人へ、地球へ。」これは株式会社 コーセーの企業メッセージ。1991年に掲げて以来20年以上もの間、企業のさまざまな事業活動の方向性を決定していくうえでの指針となっている。そのとき制定されたコーポレートカラーは青。色に込められた「美しい地球」の意味合いは社員の深層心理にも浸透し、その後の商品開発にも影響を与えていくこととなる。
深い青色の容器が印象的な「雪肌精(せっきせい)」はコーセーの主力スキンケアブランドとして成長した。今では同社の環境保全活動の広告塔の役割も担う。雪肌精シリーズの購入を通じて、サンゴの植え付け費用を寄付する「SAVE the BLUE プロジェクト」が大きな反響を呼んでいるためだ。未来に美しい自然を残すために、今できることを考え行動を起こそうと2009年夏にスタートした企画だった。
サンゴ植え付け総数6299株
サンゴ礁には海の生物の4分の1が暮らしているといわれ、生態系の維持になくてはならない存在。しかし、沖縄本島付近のサンゴ礁は、温暖化の影響により、10年前と比較すると10分の1程度に減少。この現象は地球規模で進んでいるという。
その状況を少しでも改善しようとする「SAVE the BLUE プロジェクト」。今年ですでに6年目を迎え、昨年までに植え付けした総数は、6299株に達した。3年前には産卵も始まり、30kmほど離れた名護付近の海域までサンゴの卵が流れているのが観測されている。
2012年からは全国で選抜された美容スタッフが「サンゴ大使」となり、沖縄で生態系を学び、養殖の株分けなどを体験。その経験を顧客やほかのスタッフにも伝えている。
「もともとは、1つの部署が企画をした販売促進キャンペーンの位置づけだったのですが、沖縄の海への貢献という実績が伴ったこともあり、社員にも熱がこもってきました。反響は年々大きくなり、海外へも広がって会社のCSR活動を兼ねた一大プロジェクトにまで成長しています」(経営企画部 広報室 課長 外丸純子さん)
一方、商品開発では、「地球環境にもやさしい化粧品づくり」に力を注ぐ。特に商品パッケージはさまざまな工夫を重ねており、一部の商品では化粧品の箱をフィルム包装へ変更することで、使用する樹脂量を約75%削減した。また、使用後の分別のしやすさや廃棄量削減を考慮したシンプルな容器設計も進めている。
だが、ひと言に環境配慮型のパッケージづくりといっても、そこには難しい課題が残されている。「化粧品の容器は手に持ったときの高揚感のあるデザイン性も必要で、簡素化とは相反するものです。売上げにも直結するところだけに、そのバランスが求められます。日々試行錯誤の連続ですが、これも本業と環境保全を両立するためです」(同 秦美奈子さん)
企業メッセージの「美しい知恵 人へ、地球へ。」は、社員一人ひとりの心に浸透している。
かけがえのない地球の自然環境に対し、社員一人ひとりが考え、正しいと思う活動を真摯に行っていく。それが同社の魅力となり、エネルギーの源になっている。
こぼれ話
SAVE the BLUEプロジェクトの「サンゴ大使」として、全国から選抜された美容スタッフの皆さんは、沖縄へ2泊3日の「サンゴ留学」を行います。そのときにお世話になるのが、養殖サンゴの移植放流活動を行う「Sea Seed」(海の種)代表の金城浩二さん。人工による養殖サンゴの移植と産卵に成功した第一人者で、金城さんの自伝『てぃだかんかん -海とサンゴと小さな奇跡-』は、ナインティナインの岡村隆史さん主演で映画化もされました。
SAVE the BLUEプロジェクトがスタートした2009年に植えたサンゴは、70cm以上の大きさに成長。サンゴの植え付け数は、2014年のキャンペーンでさらに増え、累計で8389株になりました。
「雪肌精 SAVE the BLUEプロジェクト」オフィシャルサイト
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