2030年目標3分の1業種が達成

2021年度地球温暖化対策計画進捗まとめ

 政府は2023年6月、内閣総理大臣を本部長とする地球温暖化対策推進本部を持ち回りにより開催し、2021年度の地球温暖化対策計画(温対計画)の進捗状況を取りまとめた。産業界が実施する低炭素社会実行計画の検証では3分の1を超える業種で、すでに2030年度の目標に到達していた。

 評価は2021年度の実績を、2030年度の目標などと比較してA〜Eの5段階で示した。各種業界団体などが掲げる低炭素社会実行計画の評価では、114のうち40の業種がA評価(実績がすでに目標を上回っているもの)だった。現段階で目標到達まではいかないが基準年の温室効果ガス排出量などに比べて削減が進んでいるB評価も61業種あった。両評価を合わせて約9割の業種で取り組みは前進している。
 ただし設定した目標自体が低いケースも考えられるため、政府はA評価の業種に対しては、目標引き上げや見直しの検討、さらなる対策の推進などを促していく考え。B評価以下の業種に対しても、取り組み強化や目標水準の再検討、目標設定のない業種には計画策定を呼びかけていく。
 低炭素社会実行計画以外の各府省庁の対策・施策では、すでに目標水準を超えているA評価が115件中7件、取り組みの継続で目標を超えると予想されるB評価が14件、同様の継続で目標に届くと見られるC評価は677件だった。全体の7割強で目標以上の活動の成果が得られるという結果になった。そのままでは目標を達成できないD評価は20件あるが、それらに対しては取り組み強化を進めていくと同時に新たな施策の検討も行う。
 今回の温対計画進捗のまとめでは、先に公表された国内全体の温室効果ガス排出量についても報告されている。森林による吸収量などを相殺した2021年度の実質排出量11億2200万tは、2013年度比で20.3%減。削減が進んだとはいえ2030年度の目標46%減までは至っていない。低評価の取り組みはもちろん高評価の対策もこれからが正念場だ。



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