【第7回】宿泊業
取り組み、旅館・ホテル選びの基準に
企業の事業内容に沿ってSDGsの目標達成を考える本コーナー。今回は宿泊業のSDGsについて見ていく。
2022年4月1日、プラスチック資源循環法が施行された。宿泊業においては主にアメニティとして提供してきた「ワンウェイプラスチック」について、削減に向けた目標設定と提供方法の見直しが求められる。この法律は地球環境問題への対応の一環だ。そしてSDGsも広範な環境保全の目標を含んでいる。
今回はこの法律の施行を機に、宿泊業でのSDGsの取り組みを考える。
旅行比較サイトやリサーチ会社のアンケート調査によれば、近年、旅行者のSDGsに対する意識は上昇傾向にあるという。
7割を超える回答者が、「SDGsへの取り組み内容や活動の度合いが宿泊先選びの基準の1つになりえる」という答えを寄せた調査結果もあった。こうした傾向に宿泊業者が対応していくには、従来とは異なる軸での活動を行ったり、既存の取り組みを積極的に公表したりする必要があるだろう。
「SDGsに取り組んでいる」もしくは「取り組みを検討している」中小企業の業種別割合は、製造業に次いで宿泊業が多い。一方で、「何をしたらいいかわからない」という意見も目立つ。SDGsへの取り組みにおいて、業種や個人・法人にかかわらず根底で共通しているのは「できることから始める」ことだ。
例えばプラスチック資源循環法への対応は、やるべきことも、もたらされる結果もわかりやすい。プラスチック製のアメニティ類を他素材へ代替したり廃棄量を削減したりすることができれば、ゴール12「つくる責任、つかう責任」、ゴール14「海の豊かさを守ろう」、ゴール15「陸の豊かさも守ろう」に直接寄与するだろう。そのほかビュッフェ形式でもあえてお客様の前で調理して提供するなど演出を工夫することでフードロス削減(ゴール12など)につなげられる。地元食材で地産地消を心がければゴール12だけでなく、地域貢献の側面からゴール11「住み続けられるまちづくりを」の達成にも役立つ。
ここで気をつけなくてはいけないのが、旅行客が求める非日常感や快適性を損なわないこと。サービス品質の維持とのバランスが重要になる。また、どんなに自社内で取り組みを進めても、それだけでは単なる負担になりかねない。その活動を適切に発信していくことで自社のブランド力を強化する「ビジネスチャンス」に変えられる。社会の要求に応え、変化に応じ、発信することが、事業の発展を後押しするだろう。
SDGs 豆知識 ⑦
サステナブル・ツーリズムという考え方が広がっている。観光地本来の姿(自然環境や文化、街の在り方、地域経済など)の保全を第一とする「持続可能な観光」を意味する。自然を生かしたアクティビティや伝統文化の体験・見学が代表的な例だ。日本政府観光局(JNTO)からもサステナブル・ツーリズムの推進強化に関する方針が発表されており、SDGs 達成に向けた取り組みとして位置づけられている。
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