• 中小企業のSDGs
  • 企業の事業内容に沿って、どのようなSDGsの目標達成が図れるのかを解説していく

【第8回】生活関連サービス業 SDGsの取り組みで持続可能な銭湯へ

企業の事業内容に沿ってSDGsの目標達成を考える本コーナー。今回は宿泊業のSDGsについて見ていく。


 石川県内で2ヵ所の銭湯を運営するユーアンドゆグループ。その1つ、ぽかぽか御経塚の湯では当初重油を燃やして湯を温めていたが、グループ代表で石川県公衆浴場業生活衛生同業組合理事長を務める松永日出男さんはISO9001の取得を機に、燃料を地元の建築廃材に転換しようと考えた。研究を重ねた末、ボイラーの改良に成功し、重油の頃と比べ年間で約480トンの二酸化炭素(CO2)削減を実現している。

ぽかぽか御経塚の湯。円内は代表の松永日出男さん。

 また現在は、竹の間伐材の有効活用を考える大学の研究室とのコラボレーションを通じ、廃材に竹チップを混ぜて燃やしている。「廃材は乾燥しよく燃えるためボイラーの温度管理が重油よりシビア。少しずつ燃焼室に投入できる機械を取りつけ、温度を一定に保っています」。さらに松永さんはボイラーの温度管理を制御するシステムも開発した。燃焼状態をスマートフォンで確認し、そのまま遠隔操作できる。これにより社員の負担は軽減され、接客などほかの仕事に集中できる。「今は働き方改革に取り組んでいる最中です。例えば、私たちは創業以来年中無休をうたってきましたが、2015年から正月を休みにし、従業員が家族サービスできるようにしました。今後は月に1度、半日程度の休館日を設け、社員の研修や勉強会を実施して業務の質的向上を図りたいと考えています」。
 そのほかにも湯上がりのお客様においしいアイスキャンディーを提供したいという社員の発案を、石川県産の新鮮な果物をふんだんに使って商品化。展示会などでPRしたところ東京のデパートからカタログ販売の引き合いが来るなど、新規事業への取り組みも積極的だ。
 「SDGsの概念を知ったとき、これまでのCO2削減や働き方改革、新規事業の展開といった取り組みが、実はSDGsのゴール13(気候変動に具体的な対策を)、ゴール8(働きがいも経済成長も)、ゴール12(つくる責任つかう責任)などの目標に沿っていると気づき、自分たちは間違っていなかったと実感できました。今後も〝脱炭素〞〝IoT〞〝GX(グリーントランスフォーメーション)〞といった概念をキーワードに、新たなチャレンジを続けていきます」

SDGs 豆知識 ⑧

 エネルギー消費に関する課題を抱えている企業は多い。環境省のCOOL CHOICEサイトは、そうした企業に役立つ情報が掲載されているサイトだ。個人ベースの取り組みから企業全体の対策など幅広く紹介されている。今回記事で掲載したユーアンドゆグループの取り組みもCOOL CHOICEのYoutube動画チャンネルで閲覧できる。

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