• 「日本の気候変動2020」を読み解く
  • 気象庁では『日本の気候変動』を毎年発行しています。地球の温暖化について最新の知見が盛り込まれた本書について解説していきます。

第17回 温室効果ガスの大気中濃度は増加を続けている

「日本の気候変動2020」を読み解く:地球の温暖化現象について気象庁は最新の科学的知見をまとめ、気候変動に関する影響評価情報の基盤情報(エビデンス)として使えるよう、『日本の気候変動』を発行しています。最新の知見が盛り込まれた本書の内容を紹介します。

地球温暖化に影響を与えるガスを「温室効果ガス」と言います。「地球温暖化対策の推進に関する法律」で定められている温室効果ガスは、以下の7つです。
1.二酸化炭素
2.メタン
3.一酸化二窒素
4.ハイドロフルオロカーボンのうち政令で定めるもの
5.パーフルオロカーボンのうち政令で定めるもの
6.六ふっ化硫黄
7.三ふっ化窒素

温室効果ガスには、太陽から放出される熱を地球に閉じ込めて、地表を温める働きがあります。この働きにより、地球の平均気温は約14℃に保たれているのです。温室効果ガスがなかった場合、地球の表面温度は-19℃くらいになるとされています。このように、温室効果ガスは必ずしも悪者ではないのです。
しかしながら、人間の経済活動の発展によって近年は温室効果ガスの排出量が増え、前例のない水準に達しています。(以下“”部分は『日本の気候変動2020年版』からの引用です)。

代表的な温室効果ガスの濃度は過去80 万年間で前例のない水準になっている
・18世紀中頃の工業化以降、人間活動に伴い、大気中の温室効果ガスの濃度は増加し続けている。代表的な温室効果ガスである二酸化炭素、メタン及び一酸化二窒素の濃度は、少なくとも過去80万年間で前例のない水準に達しており、また、過去100 年間の濃度の平均増加率は、過去2万2000年間に前例のないほど急速である。(IPCC 第5 次評価報告書)
大気中の二酸化炭素濃度は工業化以前のおよそ1.5 倍に達した
・大気中の二酸化炭素の2019 年の世界平均濃度は410.5 ppm7で、工業化以前の148%に達した(WMO, 2020)。また、2019年までの10年間の平均の増加率(1 年当たり2.4ppm)は、1990 年代の増加率の約1.5 倍に相当する。
・日本国内で観測される二酸化炭素、メタン及び一酸化二窒素の大気中の濃度は上昇を続けている。2019年も、綾里、南鳥島及び与那国島のいずれの観測点においても、二酸化炭素濃度は観測史上最も高い値を記録した。
編集注:WMO=世界気象機関
本書5P

さらに、温暖化に大きな影響を与えていることの証明として、大気からの下向きの赤外放射量が増加傾向にあることがわかっています。

大気中の雲、水蒸気、二酸化炭素等から地表に向かって放射され地上に達する下向きの赤外線の放射量は、温室効果ガスがもたらす温室効果の強さに対応する。つくばで観測された下向きの赤外線の放射量は、世界の他の観測地点のものと同様、増加傾向が見られる。
本書5P

オゾン層は復活傾向

温室効果ガス以外にも、地球環境に悪影響を与えるガスがあります。それがフロン、ハロン、臭化メチルであり、これらは主に冷房の触媒やスプレーなどに使われていましたが、これらのガスを空気中に放出すると地球を覆うオゾン層を破壊することが判明したのです。オゾン層は地上から約10~50キロメートル上空の成層圏にある、オゾンが多く存在する層です。太陽光に含まれている紫外線はオゾン層で吸収され、地上には届きません。しかし、オゾン層がこれらのガスで破壊されることで、紫外線量は徐々に増加に転じていました。
その原因がフロンなどの影響だとわかり、各国で代替フロンの導入が進みました。本書の詳細版によれば、現在のオゾン層は徐々に回復してきているそうです。

世界のオゾン全量は、1980年代から1990年代前半にかけて大きく減少し、2000年以降は極域を除く上部成層圏で10年当たり1%から3%増加している(WMO, 2018)。日本国内のオゾン全量(札幌、つくば及び那覇)は、1990年代半ば以降緩やかに増えているが、2000年半ば以降は目立った増加は見られない(図3.3.1)。
日本の気候変動2020詳細版 18P

温室効果ガスはなかなか減少に転じませんが、このように人間が努力することでオゾン層が回復に転じたことは、「環境破壊は食い止められる」というよい事例でしょう。同様に温室効果ガス削減が実現することを願っています。

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