電気はどうやって送られてくるのか

今回は電気が生まれてから手元に届くまでの経路を紹介しよう。

柱上変圧器

柱上変圧器

電気は発電所でつくられる。発電所でつくられた電気は、途中で送電ロスを生じにくくするために、電圧を高めて送られる。50万ボルト(超超高圧)や22万〜27万ボルト(超高圧)となった電気は鉄塔上の特別高圧線を通り、各地へ送られる。
その後電気は、いくつかの変電所を経由しながら少しずつ電圧を下げていく。電圧が2万2000ボルト(特別高圧)や6600ボルト(高圧)になると、街中に張り巡らされた電柱上の電線や地中に埋設された電線を通り、ビルや工場などに届く。このとき、高圧および特別高圧で受電するのに必要なのが高圧受変電設備(キュービクル)だ。
一方、一般家庭用の電気は電柱の上にあるバケツのような形の変圧器(柱上(ちゅうじょう)変圧器)などで6600ボルトを一般的な100ボルト、200ボルトの電圧に変圧してから送られる。電圧を気にせずに各家庭ですぐ100ボルト、200ボルトの家電品が使えるのはそのためだ。
今日の電気は身近なインフラで、もはやあって当たり前の存在となっている。しかし、発電施設や変電施設、送電設備はメンテナンスが必要で、鉄塔や電柱も、自然災害などで損傷すれば大規模な停電を引き起こす。2019年の台風15号通過の際は千葉県で2基の鉄塔と約2000本の電柱が損壊した。それにより起きた大停電は記憶に新しい。そうした事態が発生するたび、電力会社は復旧に全力を尽くす。
目の前にあるスイッチを入れるだけで使うことのできる電気は、数えきれぬほどの設備を経由して、それぞれを保守し整備する大勢の人たちに支えられ、ようやく私たちの手元に届く。

イラストは『イチから学ぼう デンキのキホン』(編集 日本テクノ)より。

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