直流と交流の違いは電気の流れ方の違い

方向は一定? それとも入れ替わる?

私たちの身近にある家電製品の電源は、電池かコンセントの2つに大別できる。電池にはプラス・マイナスがあり、電気の流れる方向が一定だ。例えばリモコンなど電池を使う製品は、電気(電池)の向きを逆にすると作動しない。この種の電気を「直流」という。
一方、コンセントからの電気は、流れる方向が周期的に変わる(プラス・マイナスが入れ替わる)。この電気を「交流」という。コンセントに差し込むプラグの向きを変えても、1秒間に何十回とプラス・マイナスが入れ替わる流れに変わりはないので家電は動く。その入れ替わる頻度が周波数。Hz(ヘルツ)の単位で表す。
電気をつくり出していった人類の歴史から見ると、交流よりも、まず直流の「電池」が先に発明された(1800年の「ボルタ電池」)。そこから直流の利用が広まっていき、初期の発電所も直流の電気をつくっていた。そうした発電所ができるころには、導線を巻いたコイルと磁石を接近させ、どちらかを回転させるなどで動かすと電気が発生することも発見されている。だが、そこで発生する電気は交流のため、整流装置をつけ直流に変換した。しかし、遠方に電気を送ると途中で電圧が落ちてしまう。
そこで、変圧器を使用し、電圧の調整が簡易な交流の特性を生かせば、遠方で一度に大量の電気をつくり、高い電圧をかけることで効率よく送電できる。こうして発電の主流は、「交流」になっていった。
なお、直流でも設備が整えば、送電距離・範囲を交流よりも拡大することは可能だ。最近導入量が急速に増加している太陽光発電などの再生可能エネルギーは、直流発電が多いので、そのような特性に合わせた送電の使い分けは、今後の課題となっている。

※ イラストは『イチから学ぼう デンキのキホン』(編集 日本テクノ)より。

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