• 環境政策最前線
  • 再生可能エネルギーの活用や供給システムなど、環境政策を早稲田大学の横山隆一名誉教授が解説します。

エネルギー基本計画素案における再エネの位置づけと配電インフラの改造

 経済産業省は2021年7月、エネルギー基本計画の改定素案を公表した。2030年度の再生可能エネルギー(再エネ)の比率をこれまでの22~24%から36~38%に引き上げるとしている。原子力の比率は20~22%を維持。燃焼時に二酸化炭素(CO2)を出さない水素やアンモニア発電は1%を見込む。これら脱炭素電源で59%を目指す。天然ガスや石炭などの火力発電は41%とし2019年度実績(76%)の半分近くに減らす目標だ。
 だがこのうち原発の目標達成は疑問視する声が多い。現状で再稼働した原子炉は10基なのに対し、未稼働の17基を合わせた27基を稼働させ、さらに80%という高い設備利用率(原発事故前10年の平均は67.8%)を実現する必要があるからだ。しかも27基中、今後新たに60年運転の許可を得なければ2030年に運転できないものが8基もある。
 原子力の不足分を補完するには、再エネ比率を50%といったさらに高い水準に持っていかざるを得ない。そして配電系統に接続される多くの再エネ電源に見合うよう、配電インフラの大幅な改造が必要になるだろう。
 その一環として経産省や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、地域の再エネを自立的に活用するためのスマートコミュニティの実証・構築事業を進めてきた。環境省では、第5次環境基本計画において、SDGsやパリ協定といった環境・経済・社会の課題を踏まえ「地域循環共生圏」を提唱している。地域循環共生圏とは、各地域が資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会インフラを形成しつつ、地域の活力が発揮されることを目指す考え方であり、配電インフラの改造も含まれる。
 今後は一般送配電事業者(大手電力会社)が所有し管理運営していた配電網を独立させ、新規事業者に譲渡または貸与して運用できるよう認可する配電事業ライセンス制度が実施される。特定の地域で大手電力会社が整備した配電網や設備を、新技術や地域特性を有効に活用できる事業者に利用させ、コスト削減や災害対応などの向上を狙う。特に多発する災害への対応として経産省が災害に強い地域マイクログリッドの推進・普及を目指しており、ライセンス制度がレジリエンス(自然災害などで電力設備に支障をきたしても直ちに復旧し給電を再開する能力)向上に資すると期待されている。

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