COP30 適応資金で道筋、脱化石燃料は停滞
この記事のポイント
採択文書「グローバル・ムチラオ決定」がまとめられた
途上国支援として「2035年までに資金を3倍にする努力目標」が合意された
非化石への転換に向けた行程表については最終合意に至らなかった
地球温暖化対策などを話し合う国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)が2025年11月、ブラジルのベレンで開催されました。注目されていた化石燃料からの転換に関する議論はまとまりませんでしたが、気候変動適応のための途上国支援については「2035年までに資金を3倍にする努力目標」が合意され、採択した文書「グローバル・ムチラオ決定」に盛り込まれました。
「グローバル・ムチラオ決定」の内容とは
COP30で採択された複数の合意は、まとめて「ベレン・ポリティカル・パッケージ」と呼ばれ、そのうち特に関心の高い重要事項は「グローバル・ムチラオ決定」としてカバー決定に位置づけられました。ムチラオとは「共同作業、協業、共に働く」を意味するポルトガル語です。「グローバル・ムチラオ決定」では、その精神のもと①パリ協定10周年②交渉から実施への移行③実施・連帯・国際協力の加速――を3つの柱として、包括的内容が盛り込まれています。
具体的には「緩和」の分野で、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が提供する情報の有用性を認識し、産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑えるパリ協定の目標達成に向けて取り組みを加速していくこと、温室効果ガスの削減目標(NDC)を提出していない国に対して早期提出を呼びかけることなどが示されました。
「気候資金」ではCOP29で合意した2035年までに年間3000億ドルを拠出するというNCQG(新規合同数値目標)に沿って、気候変動適応のために途上国支援の資金を3倍にする努力を追求することが決まりました。またNCQG実施を議論する閣僚級会議の開催も決まりました。
また「貿易」の分野では、EU(欧州連合)が域内の一定製品に対して課す排出量に応じたコスト(炭素価格)を、域外からの輸入品にも適用するといった貿易の障害につながる懸案について、WTO(世界貿易機関)などを含めて対話を行い、2028年にはハイレベルイベントを開催することが決まりました。
グローバル・ムチラオ決定の概要
グローバル・ムチラオ決定の3つの柱:①パリ協定10周年、②交渉から実施への移行、③実施・連帯・国際協力の加速
| 分野 | 主な内容 |
| 緩和 | ・IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が提供する情報の有用性を認識し、さらなる取り組みの加速を追求 ・温室効果ガスの削減目標(NDC)未提出国への早期提出の呼びかけ |
| 気候資金 | ・COP29で合意したNCQG(新規合同数値目標)に沿って、気候変動適応のための途上国支援の資金を2035年までに3倍にしていく努力の呼びかけ |
| 貿易 | ・気候変動対策に起因する貿易関連の問題を話し合い、2028年にハイレベルイベントを開催する |
非化石燃料は最終合意に至らず
一方で、まとまらなかったのは脱化石燃料の分野です。非化石への転換に向けた行程表の策定が議長国のブラジルから提案されていましたが産油国などの反対により最終合意文書には記載されませんでした。
次回のCOP31は2026年11月にトルコで、COP32は2027年11月にエチオピアで開催します。
気候変動対策は気候変動で生じる地球温暖化などに対して、その環境に順応できるよう取り組むこと。大きく「適応」と「緩和」に分けられる。「適応」は農作物を高温耐性品種へ変更するなど、現れる影響に対して被害を最小限に食い止めていく、または軽減していくための行動。一方で「緩和」は使用するエネルギーを減らすなどの方法で温室効果ガスの排出を抑制し、気候変動そのものを和らげる行動。気候変動適応にはこの2つの行動どちらも並行して進めていくことが重要とされている。
適応の具体例
農作物を高温耐性品種へ変更して作付けする
豪雨による水害に対し治水インフラを増強する
エアコンを適切に使用して熱中症を予防する
緩和の具体例
稼働効率のよい機器を使って、エネルギーの使用を減らす
ライフスタイルを変えて温室効果ガスの排出を少なくする(例:車やバイクではなく自転車や徒歩で移動する)
再生可能エネルギーをもっと活用する
※本記事は環境市場新聞84号(1面)記事を掲載しています。























































