• 中小企業のSDGs
  • 企業の事業内容に沿って、どのようなSDGsの目標達成が図れるのかを解説していく

【第16回】SDGsでブランド力を強化

企業の事業内容に沿ってSDGsの目標達成を考える本コーナー。今回は建設業のSDGsに関する取り組みを紹介する。

 

 2024年に創業110周年を迎えた古郡建設株式会社(埼玉県深谷市)。今後も選ばれ続ける存在であるため何が重要かを考え、ブランド力の強化にたどり着いた。2017年にブランディングチームをつくり、2019年にはデザインマネジメント部を創設。以来一貫して皆が幸せになる会社像を探っている。

写真左から福島さん、関矢さん、渡辺さん

 

「企業のブランド力を高めるには環境活動や社会貢献が必須と考え、SDGsに力を入れています」(デザインマネジメント部長 渡辺文昭さん)
「例えば当社主催で定期的に実施している『献血』。30年以上前から行っていますが、コロナ禍で献血者が集まらないと聞き、2021年4月から大々的にイベントとして開催しています。今では200人近い方が参加します」(同部 福島千紘さん)

 さらにコロナ禍の行動制限中ジョギングしながらよいことをしたいと考えた社員が自主的に始めたのが「プロギング」だ。ジョギングとごみ拾いをセットにしたスウェーデン発祥のフィットネスで、2021年6月から広く参加者を募ったイベントを年3回ほど実施している。この活動内容が評価され、2022年には埼玉県から彩の国環境大賞などが授与されている。

2024年9月にふかや花園アウトレットパーク周辺で実施した際の集合写真。

 

 「本業にリンクするものでは各工事現場で行うSDGsキャラバンがあります。私たちが現場に出向き、どのような活動をしているかヒアリングする。すると廃棄物の分別やジェンダーフリートイレの設置など、多くの取り組みが確認できます。それら拾い上げ、評価し、パネルでの掲示などを行っています」(同部採用係長 関矢祐葵さん)

キャラバン実施後は取り組み内容をSDGsの各目標に紐づけ、掲示することで周辺にアピールする。

 

 2023年には気候変動の国際イニシアチブ「SBT」の認定も取得し、温暖化ガス排出量の厳格な削減目標を定め対策に取り組んでいる。

 「官公庁の入札では脱炭素の取り組みがインセンティブになる動きも出ています。SBT認定も同様で、地球環境をよくしたいと考えて始めた活動は回りまわって業務の幅も広げてくれます」(渡辺さん)

 ブランド力強化の背景には人材問題があり、定着率の低さが課題だった。だがブランディングに力を入れることで定着率は向上し、会社とともに成長したいと考える社員は増えた。「まだまだ手探りですが、地元に根づき必要とされる存在となるため今後も働き方改革などに取り組みます」(渡辺さん)

 

こぼれ話

 古郡建設さまの取材の際、通されたのは何とトレーニングジムの一角。以前からトレーニング機材はそろっていたのですが、利用者が少なかったことから、誰もが使いたくなる空間へとリニューアルしたのだそうです。そのジムはボールパークをイメージした空間でした。ちなみにそのジムは同社のYouTubeチャンネルでご覧になれます。ぜひその目でお確かめください。
 同社は社内ジムやプロギングなどの活動が評価され、2024年の文部科学省の「スポーツエールカンパニー」として認定を受けています。ブランディングについてはまだまだ道半ばとおっしゃっていましたが、このように各所で認められ、認知度も徐々に上がっている同社の取り組みでした。

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