• Techno's Thinking
  • 日本テクノは「経済成長と省エネの両立」に向け、日々新たな商品の創造とサービスの充実を図っております。このコーナーではその時々の社会事情における企業姿勢を紹介します

使用が制限される「節電」、安定供給下での「省エネ」
「見える化」の果たす役割

 「電力需給逼迫による節電要請」「無理のない節電」など昨年の夏に続き、今冬も「節電」という言葉が飛び交う。当社でも「DRプロジェクト」として節電要請への対応を進めている。
 電力事業は「安定供給」が大前提のはずだが、それが崩れかけていることはここでも何度か触れてきた。来年から実需給の始まる容量市場が正常に機能することで、落ち着きを取り戻せるよう期待している。そうした制度が正しく継続的に働かなければ供給力への不安はいつまでも拭えない。
 供給側の都合で需要家側に節電を求めるのではインフラの機能不全と指摘されても仕方がないだろう。

      
 日本テクノが提唱する「省エネ」も安定供給が前提である。使いたいとき自由に電気を使えるから日常生活や事業活動ができる。その中で無駄な電気を使わないのが「省エネ」だ。使い方を制限される「節電」とは異なると考えている。
 当社の沿革をたどれば、始まりは電気設備の保安点検管理だった。そこに電気の「見える化」による省エネ支援を加えた。保安と省エネという2本柱からなる基盤ができ、やがて訪れた電力自由化を背景に、供給側である電力小売り事業を開始した。だから基盤が揺るがないよう小売り事業では安定供給を第一にする必要がある。そもそも電気の供給がなければ2本の柱も存在できないのだから。


 そんな安定供給への思いを念頭に入れ、今冬の省エネを考えてみる。それは供給側が求める「節電」でもあるが、昨今の社会情勢を考慮し過渡的段階での対処として取り組みたい。そこから得られる習慣は不安なく「省エネ」ができる近い未来にも役立てられる。
 そこで間違いなくいえるのは電気を「見える化」すれば省エネ活動が容易になるという事実だろう。今どれくらい電気を使っているかわかれば対策は打てる。
 SMART CLOCKを使うお客様であれば事前に30分単位に分かれた1日48コマのそれぞれで設定値を定め、どれだけの電力使用が適切かを決める準備作業だ。そのあと実施する省エネ活動の進捗は時計を見るだけで判定できる。盤面周囲にあるLEDの光が時計の長針を追い抜かなければ目標達成である。
 今冬求められる「節電」は時間帯が指定される。タイミングによっては生産設備や業務上必要な電気を切らないと達成できない場合も出てくるだろう。その対処には生産工程や業務フローの組み直しといった方法がある。節電要請の時間帯に稼働機器を制限し使用を抑制した分はほかの時間帯で稼働する、機器の立ち上げ時間をずらすなどの取り組みである。
 これは、あくまでも無理のない範囲で実施する必要がある。そのためには、どこまでの制限が可能なのか、シフトできる作業はどれなのかといった想定を事前にしておかなければならない。そのときにもやはり電気が「見える化」されていなければ正しく見通すのは難しい。使用状況が隠れたままでの節電と、はっきりと見えた状態での節電で
は対策そのものが変わってくる。
 繰り返しになるが、電気を「見える化」すれば省エネ活動は容易になる。


 インフラの機能不全とも指摘される状態から、この国全体で電気の安定供給が確保されるまでの移行の時期。それを過渡的段階と表現し、今冬の「節電」は一過性の対応と先に述べた。ここでいう「節電」を恒久的なものにしてはいけない。そのための手放せない武器が「見える化」だと考えている。

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