• Techno's Thinking
  • 日本テクノは「経済成長と省エネの両立」に向け、日々新たな商品の創造とサービスの充実を図っております。このコーナーではその時々の社会事情における企業姿勢を紹介します

人材不足と設備増の状況下 人を守り「電気をまもる」

 電気を「つくる」「まもる」「賢くつかう」—―現在、電気に関する総合サービスを展開する日本テクノの事業は、当初「電気をまもる」からのスタートだった。独自開発した24時間監視装置ES SYSTEMが設置されたキュービクルの点検業務を、提携している個人の有資格者が担うという今も続くビジネスモデルである。


 点検業務に必要なのは電気主任技術者の資格だ(点検の形態によっては実務経験も必要)。資格は、第1〜3種と3段階あり、第1種はすべての電気設備を点検でき、第3種は電圧5万ボルト未満などが対象とレベル分けされている。
 第3種の試験は上位の資格に比べ出題範囲は限定されるが、それでも合格率は10%前後で容易に取得できるものではない。さらに少子化や電気科履修学生の減少により若年層の流入は減少傾向。技術者の高齢化とも相まって人材不足が問題となっている。
 加えて1人の技術者が受け持つ電気設備の数や範囲にも法律により上限が定められている。設備の規模によって換算係数が決まっており、担当設備の換算値の合計が一定以上になる点検業務は不可。さらに担当できるのはその技術者の拠点から2時間以内で到達できる範囲に限定される。
 一方で増加傾向にあるのが点検を必要とする電気設備だ。太陽光発電など再生可能エネルギーの導入拡大、製造業の国内回帰、インバウンドによる宿泊施設の増設などが、その背景にある。


 仕事量に制限がある有資格者の数は減り、反比例するように電気設備は増加――設立当初から「電気をまもる」事業を行う当社にとって、そして電気を利用するすべての人にとって、この状況は厳しい事態だ。逆風に立ち向かうためには、技術者の待遇を少しでも良好にし人材を守り育てることが必須であろう。
 当社では通常、実務経験のある有資格者には日本テクノ協力会・日電協に入会してもらい、業務提携を行ったうえでお客様を紹介し点検業務に従事してもらう。これで顧客開拓の営業活動は不要になる。資格はあるが実務経験が不足する人には、契約社員などの雇用形態で経験年数を積み上げ、その後、点検に従事する働き方も用意している。
 定期的な技術セミナー、懇親会、会員による自主的な勉強会といった交流の場も多数揃え、個人事業主でありながら相談できる仲間を持つ安心感の提供にも気を配る。
 認定校を中心に新卒生の採用も継続して進め、社内で高圧設備での点検補助などを通じて実務経験を積み、第3種の取得を後押ししている。続けて自社発電所や特別高圧設備での選任業務などを経験し第2種への挑戦につなげる。社員向けに資格試験のためのオンライン講習も実施し、前回の試験では第2種に4人の合格者が出た。


 社会を支える「電気」を安心して使えるよう、有資格者を育成し、働きやすい環境を整えていく。「電気をまもる」事業を継続するため、人を守っていこうと考えている。

関連記事一覧