安定供給を維持しながら気候変動対策に貢献
昨年11月に開かれた国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)は前回COPの決定を踏襲し、産業革命以前からの温度上昇を1.5℃以下に抑える目標を確認した。2015年のパリ協定採択時に注目された2℃目標のままでは温暖化の及ぼす悪影響が甚大であると科学的に示され、採択当初は努力目標のような存在だった1.5℃が、現在では国際社会共通のゴールと認識されている。
世界各国は過酷な気候変動を招く二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを、排出削減しなければならないと、理解しているのだ。そのエビデンスはIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書など信頼性の高い資料として山積みされている。
正直に話そう。周知の通り日本テクノは天然ガスによる発電所を所有し、電力の供給事業を行っている。石炭や石油よりCO2排出量は少ないとはいえ、それも化石燃料だ。温室効果ガスは出る。
すべてを太陽光や風力などの再生可能エネルギー(再エネ)に置き換えられれば、発電時の排出はゼロにできる。だが、自然環境に左右される再エネだけでは安定供給ができない。不安定に増減する電力を補う別の電源が必要だ。
この天然ガス発電所は一般的な自動車などと同様な仕組みのエンジンで稼働するため機動性が高い。起動に要する時間は10分。停止は5分(一般的な火力発電の起動は2〜5時間とされ、停止期間が長い場合は1〜2日)。つまり、再エネの発電量が多いときは停止し、不足時に素早く起動という運用が可能になる。そんなセーフティネットを用意しておけば、安心して再エネの導入を拡大できる。
このように安定供給と温暖化対策のバランスを図る役目を担っているため、この発電所の社会的意義は決して低くはないだろう。ただし、いつの日か排出量ゼロの安定的エネルギー供給源が開発されたときには、経済性を考慮のうえ採用したいと考えている。
「いつの日か」を待たず今できることはある。太陽光発電設備の設置や保守などは精力的に請け負っている。お客様が使用する電気を少しでもCO2フリーにしようと市場から非化石証書付き電力を入手し積極的に販売している。デマンドレスポンス(DR)による省エネ活動もそうだ。昨冬は約1万件のお客様と電力需給逼迫時への対応として日本テクノ独自の「DRプロジェクト」に取り組んだ。今後もこの活動を継続し拡大させ、逼迫時対応が導いてくれる安定供給や省エネによる脱炭素を進めていきたい。
COPで世界の共通認識ができたものの、各国が表明している現段階の排出削減目標を集計しても、1.5℃は超えてしまう。さらなる目標の上積みが必要で、今後もその話し合いは続けられていく。200ヵ国近くある中の1つの国の1つの企業という小さな存在ではあるが、日本テクノは電力の安定供給を維持しながら気候変動対策に貢献できる道をこれからも進んでいこうと考えている。
電気に関する総合サービスを提供する日本テクノの広報室です。エコな情報発信中。