改正建築物省エネ法 成立
規制見直しで木材利用も促進

適合義務対象住宅を含むすべてに

 建物の省エネ対策強化などを目的とした改正建築物省エネ法が2022年6月、公布された。これまで中規模以上のビルなどに課されていた断熱材の厚さや複層ガラスといった省エネ基準適合義務の範囲が、2025年度までに住宅を含むすべての新築の建築物に広げられる。また、木材利用を促進させるため、防火規制の見直しなども行われた。
 日本は2050年カーボンニュートラル、2030年度の排出量46%削減(2013年度比)を目標とする脱炭素化を進めており、エネルギー消費量の約3割を占める建築分野の取り組みは欠かせない。また、この分野は木材需要の約4割を占め、温室効果ガスの吸収源対策として木材の利用拡大にも資するよう迫られていた。それらは政府の「エネルギー基本計画」や「成長戦略フォローアップ」にもうたわれ、今回の法改正の背景になった。
 既存住宅向けには、省エネや再生可能エネルギー(再エネ)に関する一定のリフォーム工事などに対し、低利で融資する制度を創設した。省エネ改修で建物の高さが制限を超えてしまう場合などに特例許可する制度も設けた。
 再エネ設備の導入促進では、市町村が住民の意見を聴きながら特定区域を設定し、その域内では建築士が施主に対し導入の効果を説明するよう義務づけた。
 木材利用の促進では、これまで壁や柱、床などすべてに一律の耐火性能が必要だった建物でも一定の区画された範囲で木造化できるようになったほか、3階建て木造住宅が建てやすくなるといった規制緩和がなされている。

関連記事一覧