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  • 企業活性化教育研究所の長尾光雄所長が、企業研修時に経験した「自利利他」にまつわるエピソードを紹介。環境市場新聞創刊時から連載する人気コラム

人間は環境の動物成長できる場に身を置こう!!

芝蘭之化(しらんのか)-2-

 人間は環境の動物だ。周囲の環境や接する人に影響を受け、人間は成長していく。自分を向上させる気持ちが強い人ほど、自分を成長させる環境に身を置く。メジャーリーガーのイチローがその好例である。
 イチローは、優勝が縁遠いマリナーズから常勝球団のヤンキースに移籍した。そのころのイチローの言葉だ。「勝つことへの強い思いは、どのチームの人間であっても持っているものですが、ヤンキースは負けを許さない空気が存在している。勝利という共通の目標に向かって一人ひとりがプライドを持ってなすべきことをしている。その空気感が違うんです」。
 ヤンキースはメジャーリーグの常勝球団だ。打者として数々の記録を塗り替えてきたイチローには、快い刺激だったのだ。この移籍によってイチローの心の高揚が数字にもみられた。その後、イチローは他球団の高額オファーを蹴ってまでヤンキースに残留することを選んだ。それは、イチローといえど年齢には勝てないため、少しでも長く野球人生を過ごそうと考えたからだろう。そのために、一流の場に身を置きたかったのだ。
 一流の場は、自分の身を奮い立たせてくれ、刺激を与えてくれるからだ。それはイチローの言葉からもわかるだろう。
 私が研修をしているある企業の専務は、熱血漢といわれ、社員からの信頼も厚い人だ。専務は、研修の指針である「本気と肯定思考」を、先頭に立って実行し、社員にも実行するよう常に呼び掛けている。社員同士でも、それができていない人を見かけたら、注意し合うようにと指導している。
 入社2年目の斉藤さんが、研修の感想文に書いた内容は、専務に大きな影響を受けていた。彼は研修指針をまったく理解していない新入社員の2人にその内容を体得するまで繰り返し話すと意気込みを語っていた。環境は企業文化を、そして社員の人間性を育てるのだ。芝蘭之化だ。

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