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  • 企業活性化教育研究所の長尾光雄所長が、企業研修時に経験した「自利利他」にまつわるエピソードを紹介。環境市場新聞創刊時から連載する人気コラム

肯定思考と本気で受けとめる 土壌のある職場をつくる

因果倶時(いんがぐじ)-4-

 お客様や上司から注意、叱責されると、あなたは肯定思考と否定思考どちらで受けとめるだろうか。肯定思考であれば、感謝して素直に受けとめ、改めることで成長の糧にできる。だが否定思考で素直に受けとめず、他に責任転嫁したり言い訳を言う人もいる。私もそのような人を数多く見てきた。
 私が研修で力を入れていることの一つが、参加者の否定思考を肯定思考に変え、いい加減な仕事に対する取り組みを本気の取り組みに変えることだ。そうすると、間違いなくその人は企業人として成長を始めていく。因果倶時である。
 教育されない企業の人ほど、少し叱責しただけで、感情のコントロールができず、否定的に対応する。そのような企業では、社員が「できません、無理です、嫌です、やりたくありません」と平然と上司に言う。さらに上司も部下を容認するという甘えの土壌ができている。これでは社員を鍛え潜在能力を引き出すことはできない。
 松下幸之助は注意、叱責について「人間は何も注意されず、叱られもしないと、どうしても物の見方や考え方が甘くなり、厳しい努力を怠りがちになる。やはり叱られるべきときには厳しく叱られ、それを素直に受け入れ、謙虚に反省するとともに、そこで大いに奮起し、自ら勉励していってこそ成長し、実力がつく」と言っている。注意、叱責は重要なのだ。
 このとき留意すべき点は職場の全員に共通する価値観があることだ。それがないと人間は自分のプライドが傷つけられた、恥をかかされたと受け取り、モラルが落ち、感情のコントロールができなくなる。共通の価値観とは、注意、叱責されることは自分の成長のためと肯定思考と本気で受けとめる土壌のある職場だ。このような職場だと一人ひとりの成長が早くなり、人財が育つのだ。活性化した職場をつくるためには肯定思考と本気で仕事に取り組むことが基本ともいえるのだ。

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