Vol.1 楽しい体験が育む環境配慮の気持ち/井の頭自然文化園
新連載「環境教育の現場から」では、全国各地にある環境を学べる「体験型施設」でのイベントや、小・中学校など教育現場で行われている「環境教育」の様子をレポートしていく。
東京都武蔵野市、吉祥寺駅から徒歩10分の場所に井の頭自然文化園がある。第二次世界大戦中の1942年に、上野動物公園に次ぐ都内 2ヵ所目の動物園として開園した。
敷地は動物園、遊園地、彫刻館などがある本園と、水生生物展示の分園に分かれ、日本産動物を中心に160種約3200個体が生息する。商業施設や住宅街に囲まれた場所ながら広さ13ヘクタールの豊かな自然を有し、入園者数は年間70万〜80万人。同園教育普及係の近藤奈津子さんは「小学校入学前の小さなお子さんと一緒の親子連れやリピーターが多いのが特徴。リスやウサギ、シカ、サルなど絵本に出てくるようなわかりやすい動物が多く、動物園の入門編のような場所」と話す。
敷地の一角にある「いきもの広場」には昆虫や野鳥など身近な生き物がいる。昔ながらの武蔵野の自然を再現した草っぱら、池、雑木林が広がる。

この広場では月2回、環境教育の一環で生き物探しのイベントを行う。担当は同係の岸野陽子さん。「ここでは生き物を放したり飼育したりはしていません。朽木を重ね隠れやすい場所をつくり、腐葉土を集めてカブトムシの寝床を整えるなどの仕掛けを施すことで、園の周囲に生息する昆虫や野鳥などが自然に集まります」。呼び寄せられた生き物を子どもたちが自由に探し、触れる。安全のため職員やボランティアが立ち会うが何よりも子どもたちの好奇心が優先される。
小学校低学年までの子どもたちを主な対象とした環境教育プログラムはほかにも多数実施していて、企画を考えるうえで根本にあるのは、とにかく楽しんでもらうことだという。見て、触れて、親しむ時間を持つ中で「生き物って面白い、生き物が好き、の気持ちが芽生えていきます」(同係の山崎彩夏さん)。その気持ちが、これを守りたいと考える自然環境への配慮につながる。楽しい体験は気づかぬうちに学びの時間になっている。


さらに大切なのは、ここでの体験をその後の生活の中で振り返り、同様の行動ができるようにすること。そのためプログラムは親子での参加が基本で、動物園の役割はあくまできっかけづくりと考える。
小学校教員を対象としたセミナーの実施もそうした考えの一環だ。普段、子どもたちと接する教員に身近な生き物の探し方や捕まえ方、学校でできる生き物集めの仕掛けづくりなどを紹介する。こうして楽しい学びの場を広げていく。
「自然文化園」の名前には「自然の中で学べる場所」でありたいという開園時の思いが込められている。今後も子どもたちの学びの場として楽しいプログラムを考え提供していく予定だ。
こぼれ話
環境市場新聞80号から新企画として「環境教育の現場から」がスタートしました。
今回、第一弾として訪問した井の頭自然文化園は、すばり「都心のオアシス」といえる場所でした。賑やかな吉祥寺駅前を10分ほど歩くと井の頭恩賜公園に到着。その散策路を進むと、井の頭自然文化園の入り口が見えてきます。エリアは分かれているものの、ここは動物園と公園の豊かな緑や自然をまとめて楽しむことができるスポットです。
取材に訪れた日には「いきもの広場」のほかでも、「井の頭池の鳥たんけん」というイベントが開催されていました。参加者は文化園内の木々に集まる野鳥や、隣接する井の頭池に飛来した渡り鳥を双眼鏡で観察。解説員から鳥に関するさまざまな話を聞きながら園内を歩きます。この日も1時間弱の限られた時間でしたが、本当にたくさんの鳥を観察することができました。一部ですが、実際に観察できた鳥を紹介します。
カルガモ:ヒナを連れた姿が有名。水草のほかにもどんぐりが大好物。
キンクロハジロ:頭と羽の黒色が特徴。渡り鳥で冬にシベリアなどから飛来する。
ホシハジロ:オスは赤褐色の頭部が特徴。絶滅危惧種の渡り鳥。水草や貝を食べる。
オカヨシガモ:オスはくちばしが黒く、胸に黒と白のうろこ模様がある。メスのくちばしは黄色。
セキレイ:キセキレイ、ハクセキレイなどが見られる。虫を食べる。
カワセミ:青色の羽が特徴。岩や木の上から魚を狙い、一気に水中に飛び込み魚を捕って食べる。
アオサギ:冬の間は単独行動だが、夏になると集団で巣を作り、魚を捕って食べる。
カワウ:一年中見られる大型の鳥。池に潜り魚を捕る。冬から夏にかけて木の上に作った巣で子育てをする。




井の頭池は近年、環境改善が進んでおり、井の頭自然文化園も含めた水辺のエリアは、野鳥観察には恰好の場所です。かわいらしい鳥たちを観察するだけでも楽しいですが、イベントでは実際の鳥を見ながらさまざまな情報を知ることができるのでさらに親近感が生まれ、充実した時間になります。また見られる鳥は日や季節によって変わります。「また参加したい」、そんな満ち足りた気持ちで帰路につきました。























































