Vol.2 動物の本来の姿に出会える場所/埼玉県こども動物自然公園
埼玉県東松山市の丘陵地帯に広がる埼玉県こども動物自然公園。46ヘクタール、東京ドーム約10個分の広大な敷地で、埼玉県と姉妹都市のオーストラリア・クイーンズランド州から譲り受けたコアラやカンガルー、クオッカをはじめ世界各国の希少動物など約150種が飼育されている。
県の施設として1980年5月5日の子どもの日に開園。当初は26種類、主に家畜動物を中心に展示していた。副園長の田中理恵子さんは開園の経緯を「当時の日本は核家族化が進み、子どもたちだけでなく親世代もスーパーで切り売りされている商品でしか家畜を知らないような状況。人と動物が自然の中で触れ合え、子どもの未来を育むような場所をつくりたかったと聞いています」と話す。そして今は、希少動物と家畜動物の両方が楽しめる場所になっている。
同園では動物本来の姿に近い様子が見られる。例えば群れで暮らす動物は複数が一緒に暮らす。すると繁殖の機会も増え、種の保存にもつながる。カンガルーやペンギンは動物たちの放飼エリアに見学者が入れるウォークインタイプで躍動感を間近で感じる。
園の活動のすべてが環境教育
動物の生態や保全を学ぶイベントも多い。毎年4月23日は園の人気動物マヌルネコの国際的な記念日。その前後に毎回テーマを決めてイベントを催す。ふわふわの長い毛や丸い耳が特徴のマヌルネコは生息地が限られる希少動物でその数は世界全体で5万8000頭程度。そんな知識をこの場で楽しく学ぶ。記念グッズで販売する缶バッジの売上はマヌルネコのふるさとモンゴルに送られ保護活動の資金になる。「現地まで行き実際に活動するのは難しいですが自分たちの行動が希少動物の保護につながると実感してもらえます」。
同様に毎年6月8日の世界海洋デーにはペンギン飼育エリアでプラスチックごみがテーマのイベントを開催。参加者がペットボトルのふたを並べ絵を描いたり、プラ板のキーホルダーづくりなどを体験。最後に自分ができるプラごみ削減の取り組みを宣言する。地域と協力した活動もある。ここでは国の絶滅危惧種に指定されるトウキョウサンショウウオが園内の谷や湿地に生息する。だがその卵が野生のアライグマなどに傷つけられてしまう。そこで傷ついた卵を地元の小学校で飼育してもらい幼体まで育てた後、子どもたちが再び園内に放流する。



園の活動のすべてが環境教育につながると話す田中さん。一度減った動物の数を元に戻すのは難しい。だからこそ、その状況を多くの人に知ってもらうのが大切だという。「子どもに人気の動物園ですが、最近では大人の来場者も増えています。今後は大人が楽しめるディープなイベントも考えたいですね」。
こぼれ話
環境市場新聞の新企画「環境教育の現場から」の第二回で訪問した、埼玉県こども動物自然公園。新聞紙面でもふれましたが、本当に広い敷地にさまざまな種類の動物がおり、見どころがたくさん。アスレチックなどの遊具エリアもあるので、一日ですべてを見て回るのは大人の足でも大変です。
さて、同園ではコアラ舎、カピバラ・ワラビー広場、ペンギンヒルズといった園内の各所にソーラーパネルを設置して、そこで作られた電気が動物たちのために使用されています。
まずはコアラ舎。オーストラリアからやってきたコアラですが、意外にもあまり暑さに強くありません。そこで太陽光発電の電気を一部使用して夏は冷房、冬は暖房を稼働。コアラたちにとって健康・快適な環境を守っています。
続いてカピバラ・ワラビー広場。カピバラといえば、お風呂に入ってリラックスしている姿が思い浮かびますが、ここでは、お風呂のお湯を温めるのにも太陽光発電を利用しています。取材に訪問したのは初夏だったため、その様子は見られませんでしたが、冬など寒い季節はお湯につかり、体を温めているそうです。
そしてもう一ヵ所は、ペンギンヒルズ。ここは飼育されているフンボルトペンギンのふるさとであるチリのチロエ島の環境を再現したエリアで、ペンギンたちが泳ぐプールには海のように波が押し寄せています。これによりペンギンの本来の姿に近い水辺の暮らしを見学することができます。同園ではこの波を再現するための装置を太陽光発電の電気で動かしています。



太陽光発電の活用の一つひとつに動物たちのことを考えた工夫や仕組みが見られますね。広い園内ですので、皆さんもぜひ時間に余裕をもって訪問し、こうした設備の工夫にも目を向けてみてください。























































