サステナブルウッド木材を選ぶわけ――サステナブルウッドってなに?
間もなく迎える2026年。環境分野においては、4月からGX(グリーントランスフォーメーション)推進法に基づく排出量取引制度(GX-ETS)が本格的に始まり、CO2排出量10万トン以上の企業にはこの制度への参加が義務化されるなど、温暖化対策の大きな転換点になると目されています。
CO2の排出量削減には、省エネ、創エネなどさまざまな手段がありますが、多くの企業が環境対策として「森林保護」や「植林」に取り組んでいます。木は成長過程でCO2を吸収・固定するため、森林の創出および維持により実質的にCO2排出削減とカウントすることができます。このような環境負荷低減の取り組みと同様の流れで、近年では「サステナブルウッド」と呼ばれる木材が注目されています。
今回は、私たちと樹木・木材の関わりや持続可能な森林づくりに関する取り組み、そして「サステナブルウッド」についてご紹介します。
日本の林業の現状

日本人に限らず、人間は森林の恵みを受けて生活し、文明を発達させてきました。現代社会においても、住居や家具だけではなく、物流や燃料など、私たちの暮らしの中で木材は幅広い用途があります。
日本は国土の3分の2を森林が占める資源国ですが、木材の自給率は約4割(2022年、林野庁)。安価な輸入材に需要が集中していること、またそれにより林業従事者が減少・高齢化していることなどが影響しているとされます。
木材の自給率の低下、林業の衰退により、手入れが行き届いていない森林が増加。倒木の危険性が高まるほか、大雨などの災害時に土砂崩れを誘引する場合もあります。日本の森林は資源として使われずに余っている状況であるため、適度な伐採(収穫期を迎えた林は収穫期に切る)、間伐や下刈(日光を届け、木々や地表の植物の健全な成長を促す)といった手入れが必要不可欠です。このような管理を行うことで、森林に本来備わる「土砂災害の防止」や「水源の涵養(かんよう)」(水を貯える機能)、そして「生物多様性保全」といった機能が保たれるのです。
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https://econews.jp/knowledge/sustainable/8521/
サステナブルウッドとは?

サステナブルウッドとは、そのような適切な管理をされた森林で合法的に伐採された木材全般のことを指します。
日本国内においては、林野庁が推進する「木づかい運動」(2005年~)により国産木材の利用普及、地産地消が進んでいます。上述したように、日本の森林は「余っている」状況のため、積極的に「使う」ことがCO2削減や経済活性化の観点からも推奨されており、木を切ることがすぐさま環境破壊とイコールにはなりません。
一方、日本の木材自給率を押し下げた要因でもある輸入材については事情が異なります。外国への輸出のため過剰または違法な伐採が横行したり、木材としてではなく単に農地開拓のために大規模な伐採が行われたり、または道路などインフラ整備のための伐採により、森林が減少。森林破壊によって生物多様性の減少や人権侵害などの深刻な環境・社会問題になっている国や地域もあります。
こうした諸問題を解決する、社会にも環境にもやさしい森林からつくられる木材がサステナブルウッドです。次の項目で紹介するような国際的な認証を得た木材を選択することが、環境や人権に配慮した持続可能な森林経営への貢献につながります。
代表的な認証制度「FSC」
取り扱う木材が「サステナブルウッド」であることを裏付けるものとして、各種認証制度がありますが、もっとも広く認知されているのがFSCです。FSCとはForest Stewardship Councilの略で、森林管理協議会という国際的な認証機関です。世界的な森林破壊を背景に、1994年に設立されました。FSCの認証は森林の管理からはじまり、加工・流通過程においても厳しく審査。両方の認証プロセスを経て初めてFSC認証マークを付けることが許されます。
2つの認証プロセス
・FM(Forest Management)認証
FSCの理念に沿った森林管理が行われているか審査し、認証する
・CoC(Chain of Custody)認証
加工・流通をはじめ、製品が完成するまでのすべての過程において、FSC認証材が不適格な木材と混ざっていないか審査し、認証する
「適切に管理された森林」として認証を受けるには、FSCが定める10の原則・70の基準に適合していることが条件です。主な特徴をまとめると以下の通りです。
①環境面
生物多様性や生態系に配慮していること。水資源、土壌を保全し、健全な状態を維持していること。
②社会面
森林で働く人々の権利が尊重されていること。地域社会、先住民の権利に配慮していること。
③経済面
森林の生産能力を損なうことなく、将来にわたり経済的に持続可能なかたちで管理されていること。
FSC認証マークが入っているということは、これらの基準をクリアしている証です。持続可能性に配慮し、合法な製品を見分けるポイントになりますね。
FSCのほか、日本独自の「持続可能な森林経営」を認証する制度としてSGEC認証もあります。SGECは、おもにヨーロッパで普及しているPEFC認証と相互承認しており、国際的にも通用します。国や地域の実情や法律を尊重した柔軟な対応が特徴で、「各国のルールを束ねる枠組み」とも捉えられます。どちらも持続可能な森林利用を応援するものであることに違いはありません。
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個人でもサステナブルウッドを選択できる

製品を製造する際に企業がFSC認証やSGEC認証マークの入った木材を原料として選ぶことはもちろん、消費者である私たちも購買行動でこれらの取り組みに参加することができます。「木材」と捉えると、家具を買い替えるタイミング以外、DIYが趣味でない限り縁がないのでは?と思いがちですが、木材から作られている製品は身の回りにたくさんあります。たとえば、トイレットペーパーやティッシュ、コピー用紙、紙パックなど、紙製品が特に身近ですね。
これらの商品を購入する際にFSC認証やSGEC認証マークがあることを確認し、積極的に選んでみましょう。自身が環境にやさしい選択をするとともに、その商品を製造した企業を応援することにつながり、ひいては森林と森林を取り巻く社会を守ることになります。
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