• Eco Story
  • 時代の流れとともに変化してきた環境問題に対する企業の取り組みを紹介します。

住宅からのCO2排出ゼロ達成間近#33/積水ハウス株式会社

 積水ハウス株式会社(大阪府大阪市)は1960年に設立されたハウスメーカーで、グループ従業員数は2万8000名を超える(2021年1月31日現在)。〝「わが家」を世界一幸せな場所にする〞というグローバルビジョンのもと、設立以来の累積建築戸数は250万戸(2021年1月31日現在)を超え、世界第1位。
 環境への取り組みを業界に先駆けて進めてきた。その端緒は1999年に発表した「環境未来計画」だ。当時は、1997年に京都議定書が採択されたこともあり、環境について世の中の関心が高まりつつあった。計画の目的は「地球温暖化対策」「生態系保全」「資源循環」の3本柱。それまで部署ごとだった活動を全社横断的に取り組むべき問題と定義し、環境を軸に据えた経営を実践し始めた。
 執行役員環境推進部長兼温暖化防止推進室長の近田智也さんは「2008年に住まいからの二酸化炭素(CO2)排出を2050年までにゼロにする〝2050年ビジョン〞を発表しました」と話す。その実現を目指し2013年4月にZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)※である「グリーンファーストゼロ」の販売を始めた。ZEHは太陽光パネルや燃料電池などの設備が必要なため高価になる場合が多いが、2020年の新築戸建住宅ZEH比率は91%にも達している。2019年の大手ハウスメーカーの平均は約48%。いかに高い水準であるかがわかる。


 2017年10月には、事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギー(再エネ)にすることを宣言するRE100イニシアチブに加盟。この時期の加盟は建設業としては日本初で、全産業で見ても国内2番目の早さだった。RE100を実現するため「積水ハウスオーナーでんき」というサービスも開始した。これは太陽光発電を搭載したオーナーからFIT(固定価格買取制度)終了後の余剰電力を買い取り、自社の事業活動で使用するもの。スタートは2019年11月。開始前の申し込み率の想定は約3割だったが、実際には約5割にも上った。RE100加盟時は再エネ比率50%を2030年、100%を2040年と見込んでいたが、2030年にも前倒し達成が可能な勢いだ。オーナーの満足度向上と同時に、コストを抑えながら継続的に再エネを利用できるという2つのメリットが生まれている。

瓦型太陽光発電システムを配した「グリーンファースト ゼロ」。


 今後の展望について近田さんは「ZEHの普及、サプライヤーとともに進めるCO2の排出削減、どんな気象条件にも強い家づくり││が当社にできること。社会の安定化のために環境保全に貢献していきたいと思います」と語る。着実に成果を生んでいる同社の取り組み。ハウスメーカーのリーディングカンパニーとして、これからも環境と向き合っていく。

※ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)
省エネルギーと創エネルギーを組み合わせることで、一次エネルギー消費量が正味でゼロとなる住まいのこと。省エネを前提としたうえで、太陽光などで創り出すエネルギー量が、家庭で消費するエネルギー量を上回るようなシステムにする。

こぼれ話

今回お話をお伺いした積水ハウスのZEH比率は、本文のグラフを見ても明らかですが、業界平均と比べて圧倒的な高さを示しています。どのような取り組みをしているかお伺いしたところ、お客さまにZEHの「快適性」「光熱費の安さ」「資産性」を丁寧に説明しているとのことでした。その他にも積水ハウスオリジナルの瓦型太陽光パネルを開発、複雑な屋根の形状にも設置できるパネルを提供しています。ZEHが広まることで再生可能エネルギーの活用が推進されますので、2050年のカーボンニュートラル達成に向けてさらなる導入が期待されます。

関連記事一覧