レジ袋有料化から3年 ごみは本当に削減できたの?
2020年7月にレジ袋が有料化されて3年が経ちました。以来、街やスーパーでマイバッグを片手に買い物をしている姿を多く見かけるようになりました。環境省の調べでは約半数の人が日常的にマイバッグを持ち歩き、私たちの日常に定着してきているようです。そして有料化によって実際にプラごみは減ったのでしょうか。
レジ袋有料化の背景
世界では年間に1億トンを超えるプラスチックが廃棄されていると言われており、日本国内だけでもその量は年間で約900万トンにのぼります。近年では海に流出した海洋プラスチックの問題が深刻化し、2050年には海洋に捨てられたプラスチックの量が魚の重量を超えると試算されています。プラスチックは微生物によって分解されないため、一度海洋に流出すると何百年も漂い続け、そこに住む生き物が誤食し、命を奪ってしまうことも珍しくありません。また波によって破砕され細かくなったマイクロプラスチックの問題もよく耳にすると思います。 美しい景観や海洋生物の生態系、そして私たちの生活まで脅かすプラスチック製品。なかでもレジ袋は使用量が多く、使い捨てで廃棄されやすいことから自然に還らない原料のものは有料化することを義務付け、使用量を抑制することになりました。なお、2022年4月からは事業者・消費者・自治体が連携しながらプラスチック製品に関して資源循環型の使用を促す「プラスチック資源循環促進法」が施行されています。この法律により消費者もプラスチック製品と上手に付き合うことが求められています。
原料の国内出荷は減少している
レジ袋の原料は高密度ポリエチレン(HDPE)フィルムという素材で、出荷量の構成は用途別にごみ袋用、レジ袋用、農業用・産業用その他となっています。有料化する前の2019年は国内出荷量が16.8万トンあったところ、2022年は12.1万トンと3割弱減少しており、レジ袋用でみると7.7万トン(2019年)から3.6万トン(2022年)と半減しています。
データ: 日本ポリオレフィンフィルム工業組合
ただし減少しているのはあくまでレジ袋用の原料で、ごみ袋用、農業用・産業用その他については若干減少してはいるものの、例年と同程度の水準のままとなっています。また、2022年のレジ袋用の原料の出荷量は前年比で上がっており、コロナ禍が落ちつき、観光地や小売店で徐々に需要が上がっていることがうかがえます。
レジ袋をなんとなくもらっていませんか?
有料化以前から多くのレジ袋が消費されてきたコンビニやスーパーでは、有料化後の辞退率が7割を超え、大手コンビニでは約8千万トンのプラごみ削減に効果があったと発表しています。また、環境省のアンケートでは1週間以内に無料のレジ袋をもらった人に対し「もしそれが有料だったとしたらどうしていたか」を訪ねたところ、約5割の回答者が『もらわなかった』と回答しています。
原料の使用量(出荷量?)全体でみるとそこまで減少していないようにも見えますが、こういった結果を見ると『消費する必要のなかったプラごみ』の削減につながっているとはいえそうです。
お店で袋が必要か聞かれた際は素材に関係なく『本当に必要か』考えることも大切です。
ごみを持ち帰るのはマナーではなく当たり前
海洋に流出するプラスチックの発生源は多岐に渡りますが、海辺や山川でのレジャーから流出するものも多くあります。これから夏休みでキャンプやバーベキューをする機会が増える季節。マイバッグの使用、レジ袋の削減だけではなく、レジャーの際に発生したゴミは責任をもって必ずもち帰り処分する。当たり前のことですが一人ひとりが意識することも大切なこと。未来を担う子供たちにもしっかり伝えていきたいですね。
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