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次世代の交通サービスMaaSがCO2削減に貢献!?

皆さんは「MaaS」という言葉をご存じですか?まだ認知度は低いかもしれませんが、数年前と比較してメディアで取り上げられることが増えてきています。 次世代の交通サービスとして、官民を挙げた実証実験が行われるなど、今後はさらに注目度が上がると思われます。今回は環境問題にも寄与すると言われるMaaSについてご紹介します。

■「MaaS」って、何?

「Mobility as a Service」(モビリティ・アズ・ア・サービス)の略称で、直訳すると「サービスとしての移動」という意味です。これだけでは想像がしづらいですが、「さまざまな交通手段を使った移動ルートを最適化し、予約や支払までをワンストップで行えるサービス」といえば少し分かりやすいでしょうか。
たとえば少し遠くの観光スポットへ出かける場面を想定してみましょう。自宅から移動し、目的の観光スポットまで到着するには、現在では以下のようなステップを踏む必要があります。

 目的予約・購入手段支払い
鉄道の手配鉄道会社のサイトや券売機などで検索鉄道会社の再登場でのオンライン決済もしくは券売機で決済
自宅から最寄り駅までのバス移動交通サイトで時刻の検索交通系ICカードもしくは現金
到着駅から観光スポットまでの移動レンタカーの場合、旅行サイトなどで検索旅行サイトやレンタカー会社のサイト上でのオンライン決済もしくは現地決済
到着駅から観光スポットまでの移動バスの場合、交通サイトで時刻の検索交通系ICカードもしくは現金
観光スポットでチケットの購入チケット売り場などで購入観光スポットのサイト上でのオンライン決済もしくは現地決済
※記載内容は一例です。

このように、目的(経路、時刻、料金など)に応じてさまざまなサイトで調べたりそれぞれのサイトで予約したりする必要があります。MaaSでは、①~⑤までを単一のサイト(もしくはアプリ)で完結できる仕組みです。

  1. MaaSを提供するサイト(もしくはアプリ)で出発地から目的地までの経路を検索する
  2. 提案された移動手段や観光スポットをサイトまたはアプリ上で予約する
  3. 登録した決済サービスで支払い

検索した経路や時刻がいつでも確認できたり、自分では思いつかなかった移動手段が提案されたりしたら、便利なうえに選択の幅も広がりますね。さらに、MaaSの推進にはシステム面の整備だけではなく、エリア内の移動に適した小型の電動車両やレンタサイクルを充実させるといったハード面の整備も含まれます。公共交通機関を降りた先での移動手段が拡充されれば、旅行の仕方も変わってきそうです。

MaaS先進国であるフィンランドの首都ヘルシンキでは、すでに本格運用されています。日本でもこのようなワンストップの交通サービスを提供するべく、さまざまな企業や自治体が協力して体制を構築している最中です。

■環境問題との関連性は

一見すると、「旅行がしやすくなるだけ」と思われてしまうかもしれませんが、MaaSがうまく構築されれば、環境問題にも大きく寄与することになります。というのも、MaaSを推進する大きな目的のひとつとして、「自家用車に代わる移動手段を提供すること」があるといわれています。 みんながみんな、自家用車で旅行に出かけたら、交通渋滞で排気ガスが増えたり、駐車場がたくさん必要だったり、環境によいとはいえません。先に例にあげたように、予約・手配が便利になり、公共交通機関を降りた先での移動手段が充実していれば、自家用車に頼らなくてもスムーズかつ快適な移動が可能です。渋滞が減ることで排気ガスも減り、不要になった駐車場は緑地化できる可能性もあります。また、駅前に用意される交通手段としてEV車やPHV車、自転車などを用意することにより、移動の際に発生するCO2を削減することもできるでしょう。その他付加的な要素としては、MaaSの実証実験にさまざまな企業が自動運転などの新技術を携えて参加することで、技術革新も期待されます。「便利になる」ことにより、それ以上の効果も生まれる可能性があるのです。

■環境以外のメリットも

メリットは旅行での利用にとどまりません。お住まいの地域でMaaSが進めば、普段の暮らしも便利になりそうです。ご紹介したように、MaaSはシステム面だけではなくハード面での整備も重要。たとえば駅前に気軽にシェアできる小型のEV車が用意されていたら、足の悪い方や高齢の方も気軽に出かけられるのではないでしょうか。もちろん、地域内の巡回バスを充実させるというのも有効な手段です。

MaaSの普及には、各社それぞれのシステムを連携させたり、そもそもハード面を整備するのに資金が必要だったりと、課題は山積みです。デジタルリテラシーの低い世代への配慮も欠かせません。課題をひとつひとつクリアにしていき、便利な世の中を実現させるには、企業努力だけではなく地域住民の理解や協力も不可欠です。地元や旅行先でMaaSの実証実験をしていたら、気軽に参加してみてください。世の中の次世代化の一助になるかもしれません。

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