• サステナブルノート
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9月は「海ごみゼロウィーク」! 海洋ごみ削減に向けて、陸上でのごみの取り扱いを見直そう


夏休みシーズンも終盤戦。海、山、川などのアウトドアレジャーに、花火大会やお祭りなど、楽しいイベントが目白押しです。今年は新型コロナウイルス感染症に関連する各種規制も緩和され、久しぶりのお出掛けや行事を楽しんだ方も多いのではないでしょうか。この先ももうしばらく暑い日々が続きます。体調管理に気を付けながら、今の季節ならではの楽しみを思い切り満喫したいですね。
そんな楽しい季節につきものの話題が、イベントやレジャー後のごみのマナー。一昔前に比べて「ごみをもち帰る」意識は浸透してきたものの、たくさんの人が集まるとごみも大量に発生してしまうのはある程度仕方のないことかもしれません。
この街中で発生したごみ。昨今問題となっている「マイクロプラスチック」や「太平洋ごみベルト」など、海洋ごみによる環境汚染の遠因となっていることをご存じでしょうか。海辺や川沿いでのポイ捨てが海洋ごみになると思われるかもしれませんが、実はその8割は街中で発生したごみだといわれているのです。
今回は、9月の「海ごみゼロウィーク」(2023年は9月16日~24日)を前に、海洋ごみの発生原因と環境への影響について考えてみましょう。



海洋ごみとは?

海岸や砂浜に流れ着く「漂着ごみ」や海面を漂う「漂流ごみ」、そして海底に沈んで堆積する「海底ごみ」に分けられます。現在、推計で1億5,000万トンもの海洋ごみが存在しているといわれ、2050年までに世界中の魚の重量を超える恐れがあるというレポートもあります。
ごみの種類は金属やガラス、木材など多々ありますが、圧倒的な割合を占めるのがプラスチック。全体の6割以上となっており、各国から年間で800万トンが海に流出されていると考えられています。
海洋ごみのなかでも特に深刻な状況を引き起こしているのが、以下の2つによる汚染問題です。

〇マイクロプラスチック
大きさが5mm以下(もしくは1mm以下など、定義はさまざま)に細分化された微細なプラスチック片のこと。紫外線により劣化したプラスチックが雨や風で川に流入し、海へ流出する過程で細かくなっていきます。海洋生物や海鳥が体内に取り込んでしまうほか、海水を加工してつくられる塩に含まれることもあり、めぐりめぐって人間の体内にも取り込まれる可能性があります。またマイクロプラスチックは有害物質を吸着することもあるため、人間以外にも多くの動物に悪影響を及ぼす恐れがあります。

〇太平洋ごみベルト
ハワイ諸島から北アメリカ大陸の間に、潮の流れにより海洋ごみが集まる「ごみの集積エリア」が形成されており、広さは約160万キロ平方メートル(日本の国土の4倍以上の面積)と目されています。2011年の東日本大震災で多くの人工物が海洋に流出し、総量をさらに増やしたとみられています。太平洋ごみベルトに浮かぶごみの半分近くが化学繊維の漁網など漁業関連の品となっていて、海洋生物に絡まって死に至らしめたりしています。

海洋を漂うプラスチックに関する過去の記事はこちら

クジラのおなかからプラスチック
https://econews.jp/column/ecobooks/1142/
(コラム > エコブックス)


【第175回】海洋プラスチック問題待ったなし!太平洋ごみベルトって?
https://eco-tatsujin.jp/column/vol175_r.html
(省エネの達人『企業編』掲載 省エネコラム)



ごみはどのように海へ流出しているのか

冒頭で記載したように、海洋ごみの8割は街中を含む陸地で発生しています。ごみが陸地から海洋へ流出していく過程として、以下のルートが挙げられます。

〇街中でのポイ捨てが流出
故意のポイ捨て以外にも、落としてしまったごみや風にとばされてしまったなど、ごみ箱に捨てられなかったごみは排水溝や風に運ばれ川へ、そして海へ流れ出ます。

〇災害などの自然現象により流出
きちんと処理しようとしていたものでも、豪雨や津波などの災害・自然現象によりなすすべなく流出してしまうこともあります。

〇産業用または家庭用の排水に含まれて流出
工場の製造工程のなかでプラスチックなどが排水溝に落ちてしまい、そのまま流出してしまうことがあります。また家庭からも、日常的に使用する製品に研磨剤の役割などでマイクロプラスチックが使用されている場合があり、家庭排水として流出してしまうことが考えられます。


ごみのなかでも、プラスチックは特に安定した物質的構造をもっているため、自然に分解されるには途方もない時間がかかります。そのうえ、陸上であれば起こり得る熱酸化分解や光分解が海中では起こり辛いため、海へ流出してしまったプラスチックはより長期間海中を漂うことになります。流出してしまったごみをどうするか考えることも大切ですが、何よりもまず、海にごみを流出させないことが重要です。

日常生活のなかでできる取り組み

海洋ごみ対策に限らず、そもそもごみを減らすためには、「ごみを適切に処理する(ポイ捨てしない)」こと、そして「マイボトル・マイバッグを持参する」ことが取り組みやすいのではないでしょうか。
日本でもレジ袋の有料化が始まっているように、世界中で使い捨てプラスチックに対する規制が行われています。海外で多く存在する「量り売り」のお店も、いずれ日本でも広がるかもしれませんね。
使い捨てできる製品は便利ですが、自然に還る素材でできたものや、繰り返し使えるものを選ぶこともごみの削減に大きく貢献するでしょう。

ごみ削減の参考に、こちらの記事もご覧ください

【第186回】環境にやさしいお買い物「バルクショップ」を活用しよう!
https://eco-tatsujin.jp/column/vol186_r.html
(省エネの達人『企業編』掲載 省エネコラム)


3Rの活用でごみを減らそう!5月30日は「ごみゼロの日」
https://econews.jp/column/sustainable/8838/
(サステナブルノート 2023年5月24日)



「海ごみゼロウィーク」 世界中で一斉にごみ拾いをしよう!

「海ごみゼロウィーク」https://uminohi.jp/umigomi/zeroweek/)には全国各地でごみ拾いイベントが開催されます。実際にごみ拾いに参加する以外にも、SNSで情報発信をするなど、イベントへのかかわり方はさまざま。世界で起こっている問題を知ったり、自分にできることを探したりするきっかけにしてみませんか?

▶ワールドクリーンアップデー
ごみ問題への対策を世界規模で一斉に実施する日。2022年には190ヵ国1500万人が参加し、WORLD CLEANUP DAYを通じて推計で20万トン以上のごみが世界中で拾われました。
https://worldcleanupday.jp/


関連動画

ごみの削減に具体的な取り組みをしている会社の省エネはこちら
【第5回】株式会社ヒキフネ



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