おしゃべりな絶滅動物たち 会えそうで会えなかった生きものと語る未来|エコブックス
人為で失われた種の絶滅後の声
特定の生物種が滅び、ほかのものに置き換わっていくことは自然の摂理で、悠久の時間の中では何度も繰り返されてきた。ただ近代以降で取り沙汰される絶滅は、ほとんどが人為によるものだ。恐竜など太古の絶滅種と違い彼らはほんの少し前まで生きていた。そこに悔恨や贖罪の念など複雑な思いを抱いた著者が、消え去った動物たちの世界各地にある足跡をたどり、復活を試みる「脱絶滅」に向けたゲノム編集技術などの話題も加えレポートしている。
主に5種の動物を1〜5章まで絶滅時期の古い順に記述し、生息時の生態、滅びた要因、関わった研究者たち、そこから人間が学んだことなどを主観を感じさせない客観的文章でつづる。続く6章で「脱絶滅」の研究と技術開発、まとめの終章という構成だ。
詳細に取り上げる最も古い絶滅は18世紀。水族館などで飼育されるマナティーやジュゴンの仲間「ステラーカイギュウ」だ。クジラ並みの体長10メートルに達する巨体だが、コンブや海藻を食べる温和な生き物だった。乱獲により「発見から二七年後の一七六八年には、最後の一頭が狩られて絶滅した」(3ページ)。
その後は順に、19世紀に姿を消した北のペンギン「オオウミガラス」、20世紀の「リョコウバト」と「フクロオオカミ」、21世紀の「ヨウスコウカワイルカ」。
これらの絶滅種は「決して人類を糾弾したりはしない。しかし『きみたちはだいじょうぶか』(中略)と、常に問いかけてくる」(212ページ)。


岩波書店 2,860 円(税込)
川端裕人 著
1964年兵庫県明石市生まれ、千葉県千葉市育ち。文筆家。東京大学教養学部卒業。
『ドードーをめぐる堂々めぐり――正保四年に消えた絶滅鳥を追って』(岩波書店)、『10代の本棚――こんな本に出会いたい』(共著,岩波ジュニア新書)、『我々はなぜ我々だけなのか――アジアから消えた多様な「人類」たち』(講談社ブルーバックス。科学ジャーナリスト賞・講談社科学出版賞受賞)、『動物園から未来を変える――ニューヨーク・ブロンクス動物園の展示デザイン』(共著,亜紀書房)、『「色のふしぎ」と不思議な社会――2020年代の「色覚」原論』『科学の最前線を切りひらく!』(筑摩書房)、小説に『ドードー鳥と孤独鳥』(国書刊行会.新田次郎文学賞受賞)、『川の名前』(ハヤカワ文庫)、『エピデミック』『銀河のワールドカップ』(集英社文庫)など多数。























































