脱炭素で経済と環境の好循環へ

政府 グリーン成長戦略を策定

 政府は2020年12月、すでに宣言している温室効果ガス排出量実質ゼロの実現に向け、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」をまとめた。温暖化への対応を成長の機会と捉え、「経済と環境の好循環」を導く産業政策として分野ごとの目標などを示している。
 戦略の前提としてまずエネルギー政策の見通しを検討した。そこでは電力部門の脱炭素化が必須であるとし、再生可能エネルギー(再エネ)が約50〜60%、水素・アンモニア発電が10%程度、原子力・二酸化炭素(CO2)回収前提の火力発電が30〜40%程度という電源構成の参考値を表した。これを踏まえ、エネルギー基本計画の改訂を進めていく。
 その他の部門は脱炭素化した電気の利用(電化)を進め現状から30〜50%増の電力需要を見込む。熱需要には水素化やCO2回収で対応していく。そうしたエネルギー政策を考慮し導いた「成長が期待される14分野の産業」で具体的目標や実行への工程を提示した。
 再エネ主力電源化の切り札とした洋上風力は、事業規模が数千億円、部品数が数万点となり関連産業への波及効果が大きい。導入目標を2030年に1000万kW、2040年で3000万〜4500万kWとした。そのほか水素の2050年に2000万トン導入など、各分野で野心的目標を掲げている。
 この成長戦略によって2030年に90兆円、2050年に190兆円程度の経済成長が見込まれるとの試算も示した。

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