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スマートフォンが安心毛布/情報社会のメンタルヘルス<4>

大人でも心の支えになる物を持っていい

 「情報社会のメンタルヘルス」の連載締めくくりに精神衛生上の視点からスマートフォンのポジティブな側面にも触れておきましょう。スマホが果たしてくれる「安心毛布」の役割です。
 子どもが肌身離さず持っているおもちゃや人形、毛布などのことを、心理学の分野では安心毛布と呼んでいます。毛布を持ち歩き、肌触りや匂いなどで安心感を得ている子どもの振る舞いがその名の由来です。
 子どもは養育者の代わりとして安心毛布に頼りながら自立していき、成長とともにそれを手離すといわれます。そして大人になっても、新たな安心毛布を手にすることがあり、それはメンタルヘルスにとって正常な行為なのです。人それぞれ安心毛布になる物は違いますが、最近の研究から、使用の有無にかかわらず物としてのスマホ自体も安心感が得られる心の支えになることが示されました。
 スマホについて①所持と使用を認める②所持は認め使用は制限③提出させ所持不可――という3条件のうち1つを与えた複数の被験者による実験がカリフォルニア大学で行われました。各被験者に対し、仕掛け人2人を交え3人で会話し疎外感を与えて結果を検証するものです。会話終了後の唾液検査や自己申告などによる測定では③のスマホ所持が許されなかった人たちだけストレス値が高まり、①②のグループは抑制されていました。この結果から、使用が制限されてもスマホを持っているだけで疎外感は抑えられるとの推測が得られたのです。
 今や少なからぬ人がスマホのことを、人とのつながりを意識させ心を落ち着かせる物と感じています。そう思う人なら、緊張する会議、客先への訪問、初対面の人との会話などに際し、ポケットやカバンにあるスマホを思い出すことで安心感が生まれ、良好なコミュニケーションを導けるでしょう。もちろんスマホにそうした役割を感じない人も多くいます。そんな人でも、自分にとっての安心毛布を探し出せば、処世のための大きな支えになってくれるはずです。



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